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Netflixゲイの恋リア「ボーイフレンド」の長短 「おっさんずラブ」的なポテンシャルが見えた 

東洋経済オンライン / 2024年8月3日 10時30分

そもそも恋愛リアリティ番組が苦手だと思うのは、現実を突きつけられた気分になることが理由の1つにありそうです。自身の体験や状況に重ね合わせて一喜一憂しすぎると、エンタメとして楽しめないのかもしれません。生々しい会話や感情がふんだんにあるのがリアリティ番組。だからこそ、ドラマ以上に沼る場合もあります。

既存の恋愛リアリティ番組は多数派の異性の恋愛を対象としたものばかりですから、余計に苦手な層を作り出したともいえそうです。でも、Netflix「ボーイフレンド」は同性だけという設定に大きな違いがあります。それゆえに伸びしろがあるのです。

徐々に恋愛リアリティ番組らしい展開も見せていきます。しかも、もっともらしいマニュアル本のような恋愛ではなく、不器用な恋愛です。恋愛初期の期待や不安が混ざり合った複雑な気持ちを淡々と映し出していることに好感が持てるはず。これこそ、この番組最大の見どころです。

なかでも大学生のダイ(22歳)とアーティストのシュン(23歳)の物語はそれを十分に満喫できます。若さも相まって、純度の高さを保証します。「キスをすれば、すべてがわかる」といった言葉まで飛び出してきます。たとえるなら、北イタリアを舞台に2人の青年のみずみずしい恋と青春を描く映画『君の名前で僕を呼んで』(2017)のようなイメージです。

ダイとシュンの関係性は、萩尾望都の名作漫画「ポーの一族」のエドガーとアランのようにも見えてきます。多少のネタバレになりますが、恋の場数をたくさん踏んでいるダイが繊細な性格のシュンの気持ちを少しずつ解放していく姿がじっくり描かれています。決して順調ではない道のりですが、信頼を深めていく様子が実に微笑ましく、美しいのです。

「結局はBL好き向けでは?」と決めつけるのはもったいないかもしれません。ドラマ「おっさんずラブ」や「きのう何食べた?」などがノンケの男性からも支持されたように、ダイとシュンの恋愛にはそんなポテンシャルがあります。

海外で高評価も勢い足りず

7月9日からNetflixで世界独占配信されて以来、イギリスの大手一般誌『ガーディアン』で熱いレビューが掲載されたり、アメリカの辛口評論サイト「ロッテン・トマト」では高スコアで一般視聴者から支持されたりと一定数の評価も受けています。Netflix公式ランキングでは、日本の「今日のTOP10」で一度、1位を獲得、週平均では日本だけでなく、香港とシンガポールでもTOP10入りし、実力を証明しています。

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