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【実験】「肉じゃが」今と昔のレシピで作った結果 ひたすら強火で料理する時短レシピはどちら?

東洋経済オンライン / 2024年8月3日 10時0分

① ジャガイモは中サイズで2~3等分と指定されているが、プロセス写真のサイズ感に合わせて4つ割りにした。切ったジャガイモを水に2~3分浸す。タマネギはくし形切り、ニンジンは小ぶりの乱切りにする。ニンジンが小さいのは、火の通りが速いジャガイモと同時に煮上がるようにするため。切り方に工夫がある点は、尚氏と同じだ。肉じゃが成功の秘訣は、野菜の切り方かもしれない。

② 鍋にサラダ油、ジャガイモ、ニンジン、タマネギを入れて中火にかけ、全体に油が回り、野菜につやが出て、ジャガイモの角が透き通るまで炒める。

③ 火を止め、野菜の上に牛肉を広げる。牛肉に砂糖をふりかけ、みりん、酒、醤油を加え、ふたをして中火にかける。
この工程は、関西式すき焼きを思わせる。上田氏は神戸出身だ。

④ クツクツ煮立ってきたら、弱めの中火にして6~8分煮る。

⑤ 牛肉に火が通ったら全体を混ぜ、ふたをして弱めの中火で3分ほど煮る。

⑥ ジャガイモに竹串を指し、柔らかくなっていたらふたを取り、強火にしてときどき底から返し、煮汁が少し残る程度まで煮詰めて完成。

肉じゃがは、肉を炒め野菜を加えるレシピが定番だ。肉の旨味を他の食材に移す目的もあり、肉をいったん取り出すレシピもある。しかし上田氏は最後に肉を加える。何しろ、こま切れ肉は、炒め物を作るとちぎれてミンチ化することがある。

尚氏のレシピで作った際は、肉がボロボロになった。しかしこの方法なら、現代の超薄切り肉でもソボロ化しにくい。上田氏のレシピには「牛肉は火通りが速いので、かたくならないよう直接鍋に触れさせずに火を通す。牛肉のうまみを野菜にしみ込ませる目的も」と注釈がある。つまり、肉の旨味を野菜に移す方法は1つではない。

ジャガイモが大ぶりなのが気になっていたが、ちゃんと「ホックホク」に仕上がりジャガイモの存在感が強い仕上がりになった。肉の旨味も確かに野菜へ移っている。ホックホクに仕上がった理由は、肉を上に載せて蒸し焼き状態にしたこと、ふたをしたことと思われる。

全体的に薄味の、いわゆる「優しい味」。編集者は口にしてすぐ「こっちのほうが好み」と断言した。肉じゃがは濃い味が好みな私は、少しだけみりんと醤油が多くてもいいなと思った。

今は火を止めて調味料を加えるレシピが多い

火を止め調味料を加える方法は、現代のレシピでは多い。平成以降、火を恐れる台所の担い手が増えたようで、フライパンはフッ素加工で、調味料をあらかじめ合わせてまとめて投入する、調味料を入れる際に加熱しないレシピは多い。

油が跳ねる、あるいは焦げ付かせるのが怖い、という現代の台所の担い手には、尚氏のレシピはおすすめしづらいが、おいしくする工程を省きがちな一般的な時短レシピと違い、素材を生かすための手早さなので、手順通り作れば食べ手の評価も高くなりそうだ。

手順や材料も、そして味つけも時代の違いを感じさせる。そして意外にも最初から完成度の高いレシピが提案されていた。ロールキャベツの話がなくなったので、最後が尻切れトンボになった気がします。以下を追加してください。

阿古 真理:作家・生活史研究家

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