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甲子園、大谷翔平の初戦突破を阻んだ「2つの壁」 多くのメジャー選手たちも涙をのんだ夢の舞台

東洋経済オンライン / 2024年8月4日 17時0分

春夏通じて、実は甲子園で1度も勝ったことのない大谷(写真:吉原正人)

今年もまた甲子園の季節がやってきたが、現在メジャーリーグで活躍する選手たちも、かつてはこの舞台を夢見て汗を流す高校球児だった。ダルビッシュ有、大谷翔平、藤浪晋太郎、松井裕樹……、彼らがこの舞台で繰り広げてきた熱戦を振り返る。

※本稿は、『プロ野球選手の甲子園伝説 21世紀新時代編』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

ダルビッシュの「夢を打ち砕いた」サヨナラ3ラン

2004年春 準々決勝 済美 VS.東北

9回裏二死走者なし。得点は6対4。誰もが東北の勝利を信じて疑わなかった。だが、肝心のマウンドにいる真壁賢守には確信がなかった。

甘井謙吾、小松紘之に連打を許し一、二塁。レフトにはこの日肩の張りで登板を回避したダルビッシュ有(パドレス)がいた。前の回の攻撃中に肩慣らしはしている。交代は十分考えられたが、若生正広監督は動かなかった。

打者は今大会不振の高橋勇丞(元阪神)。1回戦の土浦湖北戦ではチームが13安打と爆発しているにもかかわらず無安打。東邦戦でタイムリー安打が1本出たものの、この日も含めて10打数1安打。この打席でもたちまち追い込まれてカウント2-0。

ところが、3球目の真ん中に入ったストレートをとらえると、打球は一直線にレフトスタンドへ。史上3本目となる逆転サヨナラ本塁打。

「当たった瞬間に入ったと思った。最高の当たりでした。今まで野球をしてきた中で一番。一生忘れません」。

主将を務めていた高橋だが、夏の大会は不祥事を起こしベンチ外。本当に「今までで一番」がこの本塁打になるところだったが、阪神に拾われた。

ちなみに、4番・鵜久森淳志(元ヤクルトほか)も3回に2ランを放っている。打球はくしくも登板できなかったダルビッシュの頭上を飛んでいった。

「危ない状況になったら登板させると言われていました。自分としては行くつもりでいました」。

つもり、ではなく行っていれば……。

不調の9番打者への「1球に泣いた」菊池雄星

2009年春 決勝 清峰 VS. 花巻東

もし、あのとき──。たった1球に、2つの「if」が重なった。

0対0で迎えた7回裏一死一塁。打席には清峰の9番・橋本洋俊が入った。今大会12打数2安打と調子はよくない。カウント1-1からの3球目。花巻東・菊池雄星(ブルージェイズ)が投じたのはストレート。この日最速の144キロ。

だが、内角を狙ったのが甘く入った。「ストレート一本に絞っていた」という橋本にはおあつらえ向きの絶好球。フルスイングした打球はセンターの頭上を襲った。懸命にバックする佐藤涼平。だが、無情にも白球は頭を越え、決勝の二塁打になった。一死一塁。通常なら長打警戒の守備位置をとる場面だ。それが、このときは違った。

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