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「半沢直樹は要らない」AIに勝てる人間だけの能力 AI社会はあなたや子どもにどんな能力を求めるか

東洋経済オンライン / 2024年8月5日 15時0分

また回答を受けて、繰り返しその続きの質問ができますから、この深掘りの繰り返し方法でもよい結果が得られるのです。

産業革命のあと新しい職も生まれた

産業革命のあとでは、もちろん無くなった職も出ましたが、新しい職もその後次々と生まれました。ゴールドマン・サックスの報告によれば、現在の労働人口の60%が、1940年には存在しなかった職業に就いている、とのことですが、今回のChatGPTによる知能革命では、すでにプロンプト・エンジニアという新しい職が誕生しています。

このプロンプト・エンジニアとは、よい質問を提案する人のことで、年収の相場が4000万~5000万円。そのスキルを売買するネットサイトまで出ています。

これからは高学歴を必要とした職で弁護士を例にとれば、人間を必要とする仕事の絶対量がAIの肩代わりにより減ってきます。だから今まで4人でこなしていた作業は、2人か1人で充分だということになり、さらにまた少子化により、案件そのものも減ってきて追い打ちをかけることになりますから、熾烈な競争の世界が予想されます。

さて、ここまでAIのできることを大まかに見てきましたが、これからAIと暮らす社会が当たり前になる日がくる、ということです。

前述のように学習量や記憶量において、AIにはかなわないのですから、この分野でAIと戦うなどということはやめて、あくまでもよき助手、副操縦士、パートナーという考えでうまく活用し、これからは人間にしかできないことに集中していくことが賢明だということになります。

AIはこのITの中に含まれるのですが、ITそのものをAIと混同している報道を見かけます。通常のプログラミングの延長でAIといっているのは誤りで、今のところAI、人工知能といえるのは、ビッグデータを利用した「関連学習技術」と「特徴学習技術」によるコンピューター処理をいいます。

AIには太刀打ちできない人間の能力

そこで筆者なりに、ITとAIの得意とする分野と苦手分野、そして、まだ人間にしかできない分野をまとめてみたのが、ふたつの図表(「『IT』と『AI』が得意とする分野、苦手とする分野 まとめ」と「人間だけが持つパワー分野」)です。

脳をお手本にして今日までたどりついたAIは、脳の発達段階から見れば、ビッグデータに基づく記憶と計算をベースにしたサヴァン脳の域までには達していますが、いまだ「内オデコ」の働きがまったくできないということです。

つまり思考や真の創造、洞察や判断、計画性、感情や行動のコントロール、込み入ったコミュニケーション、やる気やチャレンジなど、思考や創造に代表される「考える力」の世界と、やる気やチャレンジに代表される「気力」の世界においては、AIは太刀打ちできないのです。

この「考える力」と「気力」から成る総合力を本書では、知性・知能・知覚の3つの知を総動員する頭脳の力という意味から「知頭力」と呼んでいます。

過去のデータ処理で信用度までも簡単に出してくれるAIによって、銀行の与信を担当している「倍返しだ」の半沢直樹の出番はなくなってしまう一方、フルに思考力を発揮している刑事コロンボは、AI世紀にはさらに忙しくなるということがわかります。

梶谷 通稔

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