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効果ある?「片側空け」防ぐエスカレーターの性能 どんな仕組みなのか、日立が明かす開発秘話

東洋経済オンライン / 2024年8月5日 7時30分

日立ビルシステムが開発している「片側空け」を抑止するエスカレーター(写真:日立ビルシステム)

「エスカレーターでは歩かず立ち止まってください」――。

【写真でわかる】日立ビルシステムが開発する「片側空け抑止」エスカレーター、いったいどんな仕組み?

全国の鉄道事業者、空港・商業施設、一部の自治体などが、エスカレーターは歩かずに立ち止まることを利用者に呼びかけるキャンペーンを7月22日から8月31日まで実施している。

国内では多くの公共施設にあるエスカレーターでは、利用者は片側に立ち、もう一方の側が空いているという「片側空け」が定着している。空いた側では歩いたり、駆け上がったりする人が多い。主要駅における朝夕のラッシュ時は、エスカレーターの片側だけに乗るために並ぶ人の長い行列がホーム中央付近まで延びて、もう片側は空いているという不思議な光景が常態化している。

「歩かせない」鉄道会社やメーカーが対策

エスカレーター、エレベーターなど昇降機事業分野の業界団体である日本エレベーター協会によると、エスカレーター上の歩行はバランスを崩したりつまずいたりして、転倒するおそれがあるという。日立製作所グループで昇降機大手の日立ビルシステムも「国内のエスカレーターは歩行での利用を想定した設計にはなっていないので、通常の階段よりも蹴上げが大きい」としている。それが、つまずいたり踏み外したりする危険につながるのだという。

ちなみに、エスカレーターの上を歩くと故障の原因になると言われることがあるが、人が歩く衝撃で故障することはまずないそうだ。エスカレーターの隙間にゴム製の靴、衣服などが挟まったりして安全装置が作動して停止し、整備員が駆け付ける事態を“故障”に含めているのかもしれない。

鉄道会社などではエスカレーターで歩かないための対策として2列で立ち、片側を空けないことを推奨している。歩きたい人の進路をふさぐためだ。

鉄道会社の中には、係員がエスカレーターの手前で「2列で立ってください」と呼びかけている例もある。その場合、利用者はちゃんと係員の指示に従う。しかし、「係員がいるときは2列で立ってくれても、いなくなれば元に戻ってしまう」(鉄道会社幹部)という声もある

条例でエスカレーターでの歩行行為を禁止する自治体もある。埼玉県では「エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」を2021年から施行しており、利用者の義務として「立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない」、管理者の義務として「利用者に対し、立ち止まった状態でエスカレーターを利用すべきことを周知しなければならない」としている。名古屋市でも同様の条例を2023年に施行している。こうした動きは今後、ほかの自治体でも増えるかもしれない。

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