「うつ防止」脳科学的にお勧めの「テレビの見方」 見ているだけだと「脳の老化促進マシーン」に
東洋経済オンライン / 2024年8月6日 15時0分
近年の不倫バッシングもそうです。有名人の不倫が発覚した途端、当事者同士の個別の問題ではなくなり、人間性や人格までをも問うような大問題になってしまいます。
たとえば、それまでは俳優として評価されていたような人も、その長所はなかったことにされて、短所しか取り上げられなくなります。なかには「人間のクズ」と言わんばかりの扱いになる人もいますよね。
このように、テレビはちょっとでも悪いことをした人をまるごと人格否定して、「いい人/悪い人」の二元論的な価値観を視聴者に押し付けます。それこそボーッとテレビを見続けていたら、そうした押し付けによって思考力が低下し、前頭葉を劣化させて心身の老化を進行させてしまうのです。
特に、ワイドショーを見てコメンテーターたちの言うことに「そうだそうだ!」なんて言っている人は、うつになりやすい思考パターンを持っていると言えます。
その意味では、テレビは脳の老化を速める「老化促進マシーン」であると言っても過言ではないのです。
そこで、もしもワイドショーを見るのなら、コメンテーターの一人になったつもりで、叩かれている側を擁護してみるとか、他のコメンテーターに反論してみるのが、メンタル的にも脳科学的にもお勧めの「テレビの見方」です。
反論するためには相手の言うことをそのまま鵜吞みにせず、「この人たちはこう言っているけれども、それは本当だろうか?」と疑う力が必要になります。「どの部分がおかしいと思うのか」と考え、「実際はどうなのか」と調べてみる。こうした作業が前頭葉を活性化させるのです。
また、どんな罪を犯した人でも、そこに至った理由があるはずです。
もちろん犯罪そのものは許されるものではありませんが、その背景には成育環境の影響もあるかもしれませんし、複雑な事情があるのかもしれません。
しかし、「こいつだけは許せない」「こんな悪人は人間ではない」という硬直した見方を続けていると、それ以上は思考停止して何も考えられなくなってしまいます。
一見わかりやすいレッテルや決めつけ、また脳にとってラクな考え方に流されるのではなく、常に意識して疑い、考えを巡らせ、問いかけてみる。
それこそが自分自身の老化の進行を食い止め、うつ的な思考に陥るのを防いでくれるのです。
「当たり前」を疑ってみる
テレビの刷り込みを信じたい人に見てとれるのは、「皆と同じ意見だと安心する」「一人だけ違う意見を持つのは不安」という同調意識です。
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