「うつ防止」脳科学的にお勧めの「テレビの見方」 見ているだけだと「脳の老化促進マシーン」に
東洋経済オンライン / 2024年8月6日 15時0分
それは「常識」と言われるものを重んじて、異端を許さないという同調圧力にもつながります。
しかし本来、人間というのは全員が同じ意見を持つことなどあり得ません。それなのに「皆と意見を揃えるべきだ」などと考えているとストレスは溜まっていくばかりです。あまりに強い同調圧力が常に存在している状態はストレスのもとになり、うつ病などの精神疾患にもつながりかねません。
ですから、うつにならないためには、その社会で「常識」とか「当たり前」とされるものを疑ってみることも大事です。
たとえば、いじめによる生徒の自殺が起きたとき、ワイドショーではその学校の体制や体質を糾弾しますが、そこを責めても「正義の味方」気分を味わえるだけで、何の解決にもつながりません。
それよりも、「そんな学校からは逃げたほうがいい」「どんどん人に泣きついていい」「我慢なんてしてはいけない」ということを伝えたほうがいいのです。
「逃げる」は大事な生存戦略
これは学校だけでなく、企業でも同じです。
職場が辛いなら、我慢をしないで逃げればいい。日本人には子どもの頃から「逃げるのは良くないこと」といった概念が刷り込まれているように思いますが、辛いときに逃げるのは、「常識」以前に、人間として基本的な防衛本能であり、大事な生存戦略です。
戦でも勝ち目がないなら退却すべきで、むやみに突っ込んでいくとか、ひたすら耐え忍ぶのは愚策としか言いようがありません。職場でもじっと我慢していたら、うつ病になって心身を疲弊させてしまいます。「逃げるのは人として卑怯だ」なんて言っていたら自らが壊滅するだけです。
いじめ加害者やパワハラ上司、問題を見過ごす会社の体質は、そんなに簡単には変えられません。環境が劣悪なときには、環境から逃げることです。逃げることは卑怯でも何でもなく、自分自身の身を守ることにつながるのです。
和田 秀樹:精神科医
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