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「キレートレモン」なぜ女性人気に火がついたのか 女性がずっと解消したかった美容の悩みに応えた

東洋経済オンライン / 2024年8月6日 9時50分

消費者になじみ深いのは、卓上サイズの「ポッカレモン100」(70ml)だろう。レモンをイメージした黄色と緑色の丸形容器として1994年に誕生した。

近年はSNSの発達で消費者への訴求も多様化した。メーカー主導でなく消費者起点の発想が新たな取り組みにつながる時代でもある。

現在、ポッカサッポロがカゴメと連携して販売促進を強化するのが「キレトマ」だ。「キレートレモン」と「カゴメトマトジュース」を合わせた飲み方提案で、1:1の割合を推奨している。

消費者の投稿から生み出された「キレトマ」

「きっかけはお客さまのSNSからです。『サウナの後にキレートレモンとトマトジュースを合わせて飲んだら美味しかった』という投稿をカゴメの関係者が確認され、当社にお声がけいただきました」(室担当部長)

この投稿を契機に両社で話を進め、飲み方を「キレトマ」(キレートレモン&トマトジュース)と名づけた。2022年8月にECを中心に飲用シーンの訴求や両社商品のセット販売企画をスタート。好評を得たため、昨年からリアル店舗でも活動を進めているのだ。

カゴメトマトジュースは1933年から発売する同社の代名詞的存在で、トマトに含まれる「リコピン」には血中HDL(善玉)コレステロールを増やす機能が、「GABA」は血圧が高めの人の血圧を下げる機能があることが報告されている。

「カゴメさんと当社は名古屋に本社があるなど共通点も多く、例えばトマトもレモンも、もともとスペインやイタリアといった地中海沿岸で食文化が育まれ、現在は品質と供給体制を重視して世界各地より調達しています」(同)

清涼飲料水の中でも「野菜系」「果汁系」で強かった両社がタッグを組んだ。

清涼飲料水は「約4兆5000億円」(全国清涼飲料連合会「清涼飲料水統計2024」)という巨大市場だ。健康志向を反映して無糖飲料を好む人も増えた。国内市場全体での「無糖飲料製品」構成比は「2018年は約49%」(同連合会調べ)と、半数が無糖になった。

「5割が無糖」市場での消費者訴求

そうした状況下で「キレートレモン」の今後の課題を考えたい。

健康イメージの「キレートレモン」だが有糖飲料が中心だ。「キレートレモン 無糖レモン」という無糖飲料もあるが、有糖に比べて店頭で見かける機会は少ない。

果物としてのレモンに関しても、頻繁に喫食する消費者はそこまで多くない。一時的に離れた消費者への再訴求も課題だろう。

「レモンは“何となく健康に良いフルーツ”でしたが、健康価値への具体的な訴求が実ってきました。それを続けつつ、新たな提案もしたいと思います」(室担当部長)

健康志向の時代とはいえ、医薬品とは違う清涼飲料水は、美味しく・楽しく飲めないと長続きしない。紅茶飲料のように有糖が強いカテゴリーもある。飲用による満足感への訴求はこれからも続く。

高井 尚之:経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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