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「猫は犬ほど人と絆を結べない」わけではなかった 「猫に対する見方が変わりつつある」と研究者

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 16時0分

2019年には研究者アーダーム・ミクローシ氏が『サイエンス』誌のインタビューで「私たちは猫よりもオオカミのことをよくわかっている」と言ったほどです。

ミクローシ氏は2005年には猫に指差しテストを試みました。すると最初は犬と同じような行動を見せましたが、しばらくすると猫たちは次々とテストから脱落し、研究者を困らせました。

テストに飽きてしまったり、立ち去ってしまったり。猫の研究は行き詰まりました。犬と同じように行動しないので、研究者のほうが耐えられなかったのです。ミクローシ氏は「二度と猫の研究はしない」と誓ったほど。

「みんな挑戦したけど、諦めたんです」ーー10年後に『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューでそう苦笑しました。

猫にも社交性があることが明らかに

何が原因なのかを別の研究者、つまりヴィターレ博士が掘り下げるまでに、それから10年かかりました。

ヴィターレ博士のチームは2017年に本格的に研究を開始しましたが、驚いたことに猫たちは犬と同じように立派に指差しテストに合格し、多くの場合、指を差されたものに向かって喜んで歩いていきました。ゆっくりとはいえ確実に、謎が解明されていったのです。

次の実験では子猫79匹と成猫38匹を募集し、飼い主と一緒に「安全基地テスト」に参加してもらいました。これも通常は犬に行われるテストで、飼い主が部屋からいなくなった時の反応を観察します。

ある猫は部屋に飼い主が戻ってくるまで2分間で62回鳴き、戻ってくるとすぐに安心して部屋の中を動き回りました。

ミクローシ氏の研究チームがなぜ行き詰まったかにも気づきました。猫は扱いが難しいというのは誤解でした。

「マイペースな猫は飼い主のことなど考えていないと思われがちですが、それはちがいます」

たとえば飼い主のクララと一緒に参加したライラという猫がいましたが、ライラはクララがそばにいるかぎりは果敢に部屋を歩き回って探検しました。つまりクララを完全に信頼しているのです。

「この研究結果が拡散され、喜んでもらえたのは嬉しかったです。これまで考えられていた事実とはちがったということが受け入れられた。猫は本当に社交的な生き物で、行動を研究する価値があります。今ではたくさんの人がそのことに気づいてくれました」

猫はずっと過小評価されてきた

これまで研究予算が犬にばかり費やされてきたもう1つの理由は、昔から犬にははっきりした利用価値があったから。

盲導犬、警察犬、狩猟犬、それにさまざまな種類のセラピードッグ。認知症ケアでも活躍します。しかし実は猫も重要な役割を果たすことが分かっています。

今後は、猫がいかにして飼い主と絆を結ぶのかを研究する予定だそうです。

「猫に対する見方が変わりつつあると思います。猫を飼っている人たちの間でもね。猫を訓練する人、散歩や旅に連れていく人も増えていて。これは新しい現象ですよね。家の外でも一緒に過ごせるんです。猫は長いこと過小評価されてきましたが、今では多くの人が猫の能力に気づいています」

カリーナ・ヌンシュテッド:作家・翻訳家

ウルリカ・ノールベリ

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