1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「猛暑日ゼロ」の勝浦、7月下旬に訪れた正直な感想 東京駅から1時間半、8月最高気温の平年値は29.0度

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 10時0分

7月下旬の昼前後に駆け足で勝浦の町、名所を巡ったが、思ったほど暑さを感じず、汗もかかなかった。確かに日差しは強くなったが、潮風が吹き渡り、体感温度があまり上がらないのだろうか。

涼しさを裏付けるデータは勝浦市の移住・定住ポータルサイトにも紹介されている。「#100年以上猛暑日知らずの街」というキャッチコピーで、7月22日から28日までの勝浦と東京の最高気温が列挙されている。たとえば7月22日は東京が36.6度の猛暑日だったのに対し、勝浦は30.0度。6.6度も低い。「涼しさ」が強調されるゆえんである。

勝浦の涼しさは複合的な要因

なぜ、勝浦はそんなに涼しいのか。勝浦市のサイトにはこんな説明が載っている。

・千葉県内の気象観測所の平年の真夏日の日数は勝浦は16.6日、銚子が20.1日と少なく、船橋51.1日、木更津50.9日、佐倉50.5日が多い。

・勝浦市付近は南寄りの風が吹く際、(海の)下層の冷たい海水が持ち上げられる効果により、周辺よりも海水温が低くなることがあり、他の地域よりも冷たい風が吹き込みやすい地勢となっている。

・平地が少なく森林が多い勝浦市はヒートアイランド現象が顕著に現れない。

こうした地勢的条件が勝浦に涼しさをもたらしているということだ。このため観測史上、勝浦市の最高気温は100年前の1924年8月23日の34.9度となっている。確かに猛暑日(35度以上)はゼロである。

ちなみに、この5年間の最高気温の月平均値(8月)を東京と勝浦で比較すると以下のようになる。

ただし、快適な気候も人口減を食い止めることはできていない。千葉県で市として最小人口の勝浦市の人口は、この5年間だけを見ても減り続けている。令和元年(2019年)の1万7324人以降、毎年減り続け、令和5年(2023年)は1万5761人まで落ち込んだ(10月1日現在)。

さまざまなメディアが「涼しい街・勝浦」を報じたことから、勝浦市によると2022年7月の移住・定住相談件数は前月の約10倍に増えたとのことだが、必ずしもその後の実績にはつながっていないようだ。

現地ツアーなどのイベントを増やしていく

総務省の人口移動報告の結果(日本人)を見ると2022年は77人、2023年は144人の転出超過となっている。この点を勝浦市はどう受け止めているのか。

「移住相談や空き家バンクの問い合わせが増えています。今は移住政策の種まき期だと思っています。これまでは東京でのイベントに参加するだけでしたが、今後は現地ツアーをはじめ勝浦市独自のイベントを増やしていきたいですね。そうするなかで地元の方との交流を深め、実績を積み上げていきたいと思っています」(企画課移住・定住支援係)

涼しさだけでなく、豊かな自然を生かした観光と食文化、400年以上続く朝市などの歴史、そしていい意味での田舎感が残る勝浦市が、今後どう変貌していくのだろうか。

山田 稔:ジャーナリスト

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください