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株価暴落「投資」と「ギャンブル」はどこが違うのか 投資が「ギャンブル化」してしまう大きな勘違い

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 8時0分

4万2000円を超えた日経平均が1カ月も経たずに1万円も下落したことで、長期保有目的でNISAを始めた人たちの中にも、NISAを解約したほうがいいのではないかと動揺している人も多いようです。しかし、こういうときこそ投資の目的を振り返って足元を見つめ直すことが必要だと思います。

また、株価自体の変動が、企業の提供する価値を表しているわけではありません。株が暴落すると、「莫大な富が失われた」という表現が使われますが、本当の意味では富は失われていません。

長期的に高めるべきなのは「値段」ではなく「価値」

資産価格の変動に振り回されないように、小説『きみのお金は誰のため』の中でも、長期的に増やすべき「価値」について、先生役の「ボス」が1990年のバブル崩壊を例に説明しています。

「アフリカの話を聞いていると、生産力やインフラの蓄積など、実体あるものが生活を豊かにしているとよくわかります。ですが、日本にいると、土地や株の価格が暴落したときにも、『莫大な富が失われた』と言いますよね。こうした値段の蓄積も大事なのでしょうか?」

「グッドポイントや」

ボスが体を起こして、人差し指を立てる。

「生活の豊かさは、一人ひとりにとっての価値の話や。価値と値段は、区別せんとあかん。たとえば、そのどら焼きにはどれくらいの価値があると思う?」

優斗はすかさず答えた。

「1個200円でしたよ。っていうか、さっきボスからお金もらうときに、話しましたよね。1個250円のどら焼きを、おばちゃんが200円にまけてくれたって」

ボスが笑いながら否定する。

「それは値段の話やな。どら焼きを売るお店にとっては、間違いなく200円の価値がある。そのお金が手に入るからや。ところが、優斗くんは売る人やなくて食べる人や。君がどら焼きを食べて手に入れたのは幸せや。それが価値や」

(中略)

「同じように、土地の価値は、生活の快適さ次第ということですね。水道や道路などのインフラが整って便利になることが大事で、土地の値段は関係ないということなのでしょうか?」

「みんなが便利やと思う土地は、みんなが欲しがるから結果的に値段は上がる。せやけど、その逆は成り立たへん。土地の値段だけ上がっても便利にならへんし、値段が下がったと言って、急に不便になるわけやない」

ボスは1990年のバブル崩壊を例に挙げた。2500兆円もあった日本の土地の総額が、5年後には1800兆円程度まで減少したそうだ。

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