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柔道団体、ルーレットは不公正?東大生が語る盲点 アナログ抽選にしても公正になるとはかぎらない

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 10時0分

さらに、確率は「収束値」にすぎないので、実際に1万回サイコロを振ったところでピッタリ1666回、1667回「3」の目が出るという事象はかなりまれです。

このように考えると、何をもって「6分の1」としているのか。ここの計算では、サイコロの6つの目「1、2、3、4、5、6」の中で特定のある目だけがよく出る、ということはなく、どの目も等しい確率で出ることを前提としているのです。このように、「同じように起こる可能性がある」ことを、数学用語で「同様に確からしい」と言います。

サイコロの目が出る可能性は本当に同じ?

さて、サイコロは本当に「同様に確からしい」と言えるのでしょうか。

もちろんサイコロの種類にもよりますが、サイコロのそれぞれの面には出目を示す黒色の穴(「1」の目のみ赤色の穴である場合が多い)が彫られています。その穴の大きさや数によって、厳密に言えば少しずつ各面の重さが変わることになります。

何かものを投げたり落としたりするとき、一般的には重い部分が下を向くように落下するため、それぞれの目が出る可能性はまったく同じとは言えないのです。

これはサイコロに限った話ではありません。例えばサッカーの試合などでも使われる「コイントス」でも、「表」「裏」が出る確率は等しく2分の1であると言い切れません。

コインにはさまざまな種類がありますが、表裏を区別するために模様を入れているものがほとんどです。その模様によって、ほんの少しではありますがコインの重心の位置が真ん中からずれることがあります。例えば裏に模様が入っていて裏面のほうがが重い場合は、表のほうがわずかに出る確率は大きくなります。

「同様に確からしい」状態を作るのは簡単ではない

箱の中にいくつかのボールを入れてそれを1つ取り出す、という抽選方法もよく用いられます。この方法も、ボールの重さを1つだけ変えたり、温度を変えたりするなどさまざまな作為的な介入がありえます。このように考えてみると、アナログでの抽選形式は、どの方法であっても完全に「同様に確からしい」状態を作ることは簡単ではないのです。

フランス柔道連盟のステファン・ノミス会長は、「ルーレットのボタンを押すのは、われわれではない。IOC(国際オリンピック委員会)が管理している」と地元メディアに発言したと伝えられています。ちなみに、このルーレット形式による階級の決定は前回の東京五輪から行われています。

皆さんはどのような抽選方法がいちばん公正だと考えますか? デジタルにせよ、アナログにせよ、公正さに加えて「納得感」のある方式は何か、議論の余地がありそうです。

永田 耕作:現役東大生・ドラゴン桜チャンネル塾長

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