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イスラエルvs.イラン「中東全面戦争」の現実味 「暗黙のルール」維持も徐々に高まる緊張

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 15時0分

イスラエルは2008年にも、ヒズボラの対外作戦司令官イマド・ムグニエ氏をシリアで暗殺している。イランでも2020年に著名な核科学者モフセン・ファクリザデ氏が暗殺されている。

ただ、今回はシュクル氏がベイルートで暗殺されたほか、ハニヤ氏はイランの精鋭部隊、革命防衛隊が管理する政府施設の滞在中に殺害されており、双方ともお膝元での警備や情報管理の脆弱性を露呈し、メンツを潰された格好だ。

これまでのところ、両者のイスラエルとの応酬は、全面戦争を招かないよう慎重に計算されている。イランは4月に在シリア・イラン大使館が空爆され、革命防衛隊幹部らが殺害された報復としてのイスラエル攻撃でも、軍事基地を標的として弾道ミサイルやドローンなど300発・基を投入したものの、市民の犠牲を出さないようにアピール効果を狙ったものだった。

等価報復の原則からすれば、イスラエルの指導者らを暗殺するのが妥当だが、イランやヒズボラにはイスラエル対外情報機関モサドやイスラエル軍に比肩するような情報収集能力や携帯電話の盗聴などの技術力はない。

ヒズボラとしてはイスラエルがレッドラインとするハイファなど都市部を標的として、これまで以上にインパクトのある報復を行うことを検討しているとみられるが、紛争が拡大するのも回避したいところだろう。

イランは4月に行ったイスラエルへの報復攻撃では市民の犠牲を出さないよう居住地域から離れた場所にある軍施設を狙っているが、今回も同じような場所を狙えばインパクトに欠けるため、テルアビブなど都市部にある軍関連施設が標的になるとの見方もある。

イスラエル「レバノンを石器時代に戻す」

ただ、イスラエルも攻撃された場合には報復すると警告しており、ヒズボラとイランも慎重に標的は検討せざるを得ない。イスラエルはガザ戦争での軍事力行使のハードルが大幅に下がっている。

イエメンのシーア派系ザイド派のフーシ派によるテルアビブへのドローン攻撃では、イスラエルはイエメンの港湾都市ホデイダの発電所や燃料貯蔵施設を狙い、民間人1人死亡に対して過剰とも思える報復行動に出ている。

イスラエルは「レバノンを石器時代に戻す」とし、ヒズボラの行動次第ではベイルートなどを激しく空爆する可能性を示唆している。イエメン情勢に詳しい専門家によると、イエメンではイスラエルを挑発的に攻撃するフーシ派に対して、ハマスとイスラエルの対立に過度に介入し、イスラエルの報復攻撃を招いて国民生活を圧迫しているとの批判が一部の国民から上がっているという。

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