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日本株はどうやら「反発で安心」とはならなそうだ 今後相場を左右しそうな注目指標とイベント

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 17時0分

(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

「こんな下げはこれまで経験したことがなかった」。東京都在住の40代の男性は肩を落とす。米国株中心に日本株や債券、暗号資産にも投資してきた。週明けの8月5日には目先の底と判断して暗号資産のイーサリアムを購入したところ、下落して損失確定売りを余儀なくされた。保有株の一部を事前に売却し利益確定していたが、焼け石に水。「これで今年の税金対策は完璧……」と自嘲ぎみに語る。

【一覧で見る】8月5日の日経平均株価の暴落は、歴代何位の下落率だったのか?

市場参加者が意識していた「サーム・ルール」

世界の金融・商品市場が大激震に見舞われた。日経平均株価は5日に前週末比4451円28銭安の3万1458円42銭と大幅に下落し、一気に昨年末の水準を割り込んだ。値下がり幅は「ブラックマンデー」翌日の1987年10月20日を上回り、過去最大を記録。欧米でも株価が軒並み値を下げるなど世界同時株安となった。

原油価格や暗号資産など他のリスク資産にも売りが殺到。日本株は6日に売り方の買い戻しなどが入って前日比3217円高と一転して過去最大の上昇を演じたが、金融市場は波乱含みの状況が続く。

今回の日本株急落の背景にあるのは、アメリカの景気の後退懸念の高まりや、外国為替市場での円高ドル安の進行だ。アメリカの労働省が2日に発表した7月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比11.4万人増にとどまり、市場予想の同17.5万人を大幅に下回った。5月と6月の数字も下方修正。失業率は4.3%と市場予想の4.1%を上回り、いずれもアメリカの雇用市場の軟化を示唆する結果となった。

これを受けて、発表後のニューヨーク株式市場では取引開始直後から売りが膨らみ、ダウは前日比610ドル安と大幅に値下がりした。

市場参加者の間で意識されていたのが「サーム・ルール」である。アメリカの経済学者のクラウディア・サーム氏が考案した指標で、失業率の過去3カ月の移動平均が過去12カ月間の最低値から上方へ0.5%乖離すると経験則上、景気後退(リセッション)局面入りするというものだ。7月の失業率が4.3%へ上昇したことで、「同ルールのシグナルが点灯した」と多くの市場参加者が受け止めた。

これまでは「バッドニュース」イコール「グッドニュース」。つまり、景気の足踏み状態を示す経済指標が公表されると、連邦準備制度理事会(FRB) による利下げ期待が高まって株価上昇を後押しする材料になっていた。だが、ここへきて投資家心理が弱気へ傾くのに伴い、「バッドニュース」イコール「バッドニュース」とみなされるようになった。

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