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日本株はどうやら「反発で安心」とはならなそうだ 今後相場を左右しそうな注目指標とイベント

東洋経済オンライン / 2024年8月7日 17時0分

円高も逆風だ。日経平均は昨年末から7月につけた終値ベースの史上最高値4万2224円まで約26%の上昇。これに対して、ニューヨーク・ダウは昨年末から7月の高値まで同10%の値上がりにとどまる。「日本株の上昇は米国株高と円安でほとんど説明がつく」(シンクタンクのクオンツアナリスト)。

円高で日本企業の業績に下振れ観測

円高へ振れたことで、日本の企業業績の上方修正期待が後退。海外勢の「円売り・日本株買い」トレードを手仕舞う動きなども活発化し、株価の下落幅を大きくした。

トヨタ自動車の2025年3月期業績見通しの前提となるドル・円レートは1ドル=145円。日本製鉄は同3月期の前提レートを期初の同145円から153円へ引き上げた。一方、ドル・円相場では一時、141円台まで円高が進行した。為替相場の状況次第では今後、業績の下振れ観測が高まり、つれて株式相場がさらに下押すシナリオもありうる。

円高をめぐって市場関係者には、日銀が7月に利上げを決めた金融政策決定会合後の植田総裁の記者会見によって加速されたとの見方が少なくない。会見で同総裁は円安が物価を押し上げる可能性について、「上振れリスクがかなり大きい」などと政策判断の材料の1つにしたことに言及。追加利上げの可能性も示した。

ところが、4月の同会合後の会見では、円安に関して「基調的な物価上昇率に大きな影響は与えていないと判断した」などと説明していた。円安を強く牽制する発言をしなかったことが一段の円安進行につながった経緯がある。

植田氏の「タカ派への急変」(エコノミスト)に戸惑った市場。SMBC信託銀行プレスティアの山口真弘・投資調査部長は「潜在成長率が低くインフレが高進していないにもかかわらず、利上げへのハードルを下げるのはどうなのかとの疑問から、低金利通貨の円を売ってドルなどを買うキャリートレードの巻き戻しが活発化した」と話す。

7日には北海道・函館で開かれた金融経済懇談会に出席した日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げすることはない」と明言したのを受けて、株式相場が急伸。日銀の政策委員会メンバーの発言には当面、神経を尖らせざるをえない。 

注目は8月下旬の「ジャクソンホール会議」

アメリカの景気動向も株価の行方を大きく左右しそうだ。今後、発表される経済指標に大きく左右される展開も考えられる。特に、8月22~24日に開催される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」は例年にも増して注目が集まりそう。FRBのパウエル議長の講演が最大の焦点だ。

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