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能登半島地震で液状化「変わり果てたまち」の今 住民の多くが避難生活、復興は時間との闘い

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 8時30分

液状化被害の大きい、内灘町西荒屋の住宅地。住民の多くが避難生活を続けている(撮影:筆者)

能登半島地震では、震源地から遠く離れた場所でも液状化の被害が発生した。石川県内灘町やかほく市大崎地区では、液状化に伴って地盤が横方向にずれる「側方流動」が生じ、多くの住宅が損壊した。

かほく市は7月中旬に液状化被害に関する支援策を発表。住民説明会を実施するとともに、7月22日から支援策の相談・申し込み受け付けを開始した。内灘町も支援策を決定し、8月20日から町内の地区ごとに支援策に関する説明会を開催する予定だ。

被害があった住宅の再建はどうなるのか。7月中旬、液状化被害の爪痕の大きい内灘町や、かほく市大崎地区の実情を取材した。

県庁所在地の金沢市から車で30分走ると、「砂丘のまち」として知られる内灘町に入る。平均標高約20メートル、幅1キロメートルにも達する広大な砂丘の上には新興住宅地が広がっている。一方で、そこから河北潟の干拓地に向かって急な坂を下ると景色は一変した。

【写真】内灘町西荒屋区長の黒田邦彦さん。西荒屋公民館の裏手の公園は液状化で段差が生じた

砂丘の下に広がる、古くからある集落を貫く「松任宇ノ気線」(県道8号線)は道路の至る所がでこぼこ状態で、周囲には不規則に傾いた住宅が並んでいる。下水道も応急復旧の工事が続いていた。

知られざる液状化の被害

内灘町で最も被害が大きかったのが町北部の西荒屋地区だ。住民の戸田清美さんに自宅の周辺を案内してもらった。

戸田さん宅では液状化により玄関の柱が傾き、ホームセンターで買ってきた金具で支えている状態だ。塀も倒れかけ、玄関前の床にはひびが入っている。ただ、「住宅そのものの被害はわずかで、幸いにも傾きはほとんどなかった」(戸田さん)。そのため、夫婦2人暮らしの生活を続けている。

他方、周囲を見渡すと被害の大きさは一目瞭然だ。

「このあたりの住宅街を見てください。道路がでこぼこでしょう。側溝も砂がたまったままで位置も変わってしまっています。自宅と隣家の境界線も分からなくなっている。被害が大きい住宅では家の中でも砂が噴き出している。復旧には相当の年月がかかるでしょう」(戸田さん)

現在、戸田さん宅および周囲の12世帯のうちで住み続けているのは4世帯のみ。多くの住民は仮設住宅や親戚宅で避難生活を余儀なくされているという。

内灘町は、能登半島の震源域から約100キロメートルも離れている。そのため震度は5弱にとどまり、奥能登のように建物の1階部分が倒壊する事例はなかった。しかし、この町の特有の事情が住宅被害を大きくしている。

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