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能登半島地震で液状化「変わり果てたまち」の今 住民の多くが避難生活、復興は時間との闘い

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 8時30分

昭和30~40年代に河北潟を干拓した際、砂丘地の裾野のあたりを掘削して土砂を採取。その結果、地面の下の浅い部分を地下水が流れるようになった。そこに今回の地震が襲い、地盤が液状化して横に動く「側方流動」と呼ばれる現象が起きた。

そのため、内灘町やかほく市の大崎地区では、液状化による傾斜や沈下といった住宅の被害が続出。住民は今も壊れたままの自宅や避難先での生活を余儀なくされている。小学校や保育所も閉鎖され、小学生や園児は別の学校や保育所に遠距離通学しているのが実情だ。

西荒屋で行政区長を務める黒田邦彦さん宅は被災の程度が「大規模半壊」と判定された。建物が傾き、現在は隣町にある妻の実家で避難生活を送っている。

「5分もいるとめまいがして平衡感覚がなくなると妻が言い出したので、自宅にいるのは無理だと考えた」と黒田さんは説明する。そのうえで今後については「住宅の傾きを直したうえで再び住み続けたい」といい、行政による支援の中身が明らかになるのを待っている状態だ。

「住み続けたい、戻りたい」が7割

内灘町が2月に西荒屋地区で実施した「被災宅地危険度判定」によれば408件のうち211件と、全体の半数以上の宅地が「危険(赤色)」とされた。罹災証明書の集計(3月14日現在)でも、同地区では全壊47件(16.7%)、半壊(大規模半壊および半壊、準半壊)が150件(53.2%)と、全体(222件)のうちの約7割を占めた。

他方で多くの住民が再び自宅での生活を望んでいる。西荒屋行政区が3月から4月にかけて独自に実施した住民の意向調査によれば、回答数162件のうち「住み続けたい」が64件(39.5%)、「戻りたい」が48件(29.6%)と、合わせて7割となった。

これに対して「転出したい(戻りたくない)」は18件(11.1%)にとどまった。「その他」は32件(19.8%)にのぼり、これには「今後の状況を見て」「条件次第」「安全な代替地」「集団移転」「判断できない」などが含まれている。

黒田さんによれば、回答者のうち60歳以上が全体の7割近くを占めており、「高齢者ほど元の住宅に住み続けたいという意向が多い」という。

問題はどのように復旧・復興を進めていくのかだ。

5月に西荒屋地区では、住民が「復興委員会」を結成。若い人から高齢者まで約30人が参加した。委員長を務める黒田さんによれば、「これまでに3回ほど会合を持ったが、現時点では町に要望を上げることにとどまっている。地区の将来に関しての青写真は描けていないのが実情だ」という。

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