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「保守派の星」高市早苗氏の苦しい総裁選戦略 "安倍政治継承"をアピールも、限られる議員支持

東洋経済オンライン / 2024年8月8日 9時30分

そうした中、安倍氏は結果報告会で「私たちは高市氏を通じて、本来自民党はどうあるべきか、しっかりと訴えることができた。他の候補にも影響を与えた」と高市氏の戦いを評価し、高市氏も「私は歩みを止めない。政策を磨き上げ、また次に向かって一緒に歩んでくださることをお願いする」と再挑戦への決意を示した。

そこで問題となるのは、「現在の高市氏の総裁候補としての力量」(自民長老)だ。「前回総裁選での敗因となった地方票での弱さをどう克服するか」(同)が最大のポイントで、高市氏は7月後半から8月下旬まで、講演を中心に全国を飛び回って地方議員や党員・党友への支持呼びかけの活動を展開する構えで、陣営幹部は「これまでの地方講演は大入り満員で手ごたえは十分」と胸を張る。確かに、岸田政権への国民的反発が収まらない中、「岸田首相のアンチテーゼとしては、石破氏と高市氏が双璧」(同)であることは間違いない。

その一方で、肝心の自民議員の支持は「保守派以外への広がりに欠けるのが実態」(無派閥若手)とみられている。しかも、ここにきて党内若手などの間での支持が拡大している小林鷹之・前経済安保相は高市氏の前任で、「保守派として高市氏と支持者がかぶる」(自民幹部)ことは否定できない。それもあってか、高市氏は「保守的な主張をこれまで以上に先鋭化させて、小林氏との差別化を狙っている」(政治ジャーナリスト)とされるが、「そのこと自体が支持議員を減らす悪循環に陥っている」(同)との指摘もある。

ここにきての株価の乱高下で大混乱となった日本経済への現状については「アベノミクスがもたらした金融政策の歪みが原因」(経済アナリスト)との見方が広がる。このため、「総裁選では安倍氏と黒田東彦前日銀総裁が推し進めたアベノミクスの光と影の検証も争点となる」(自民長老)とみられており、「高市氏の経済・金融政策も厳しく問われる」(同)ことは避けられそうもない。

「出馬惨敗」や「断念」なら“次の次”もなくなる?

63歳の高市氏は、「年齢的には働き盛りで、次の次の総裁選出馬も可能」(周辺)とみられている。しかし、「今回出馬して前回より票が激減したり、不出馬に追い込まれた場合、“次の次”もなくなりかねない」(政治ジャーナリスト)との不安も抱える。

そうした中、総裁選の日程を決める総裁選選管委員会のメンバー構成にも党内の注目が集まる。同管理委はこれまで、派閥のバランスに配慮して均等に人選されてきた。しかし、今回は派閥裏金事件を受け、無派閥から最多の5人を選出し、最大派閥だった安倍派から3人、麻生、茂木、二階派から各1人を選び、岸田派の起用は見送られた。

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