新人の心を病ませた法人営業「カスハラ」の理不尽 取引先の「カスハラ問題」どう乗り越えるか
東洋経済オンライン / 2024年8月8日 8時0分
しかし礼儀はあらゆることの「根本」である。お客様は、お客様としての礼儀をわきまえていることが「前提」で、「客であれば何を要求してもいい」という発想は非常識であろう。
これはサービス提供者とお客様だけでなく、上司と部下、親と子どもの関係でも同じである。親しき仲にも礼儀あり、なのだ。
執拗なカスハラによって閉店に追い込まれたラーメン店。土下座を要求された市職員など、カスハラの対象となるのは、主に個人(消費者)に対してサービスを行う事業や自治体で働く人たちだ。
ところが個人ではなく、法人に対する営業にもカスハラは増えている。
私がIT企業でシステムエンジニアをしていたころの話だ。
突然、上司がお客様から呼び出されたので私も同行した。会議室では営業部長と、その部下と思われる課長3人、そしてシステム事業部のトップが腕組みして私たちを睨みつけ、「どうやって落とし前をつけてくれるんだ!」と怒り心頭だった。
「期待通りにシステムが動かない」「誤動作が続いている」というのなら平謝りするしかない。だが、お客様が放った一言は「このシステムを導入したら、営業の生産性がアップするんじゃなかったのかっ!」。
怒りの原因は、驚くことに「成果が出ないこと」に対してだったのだ。頭を下げながら、腑に落ちない上司と私は思わず顔を見合わせた。
確かに、営業の生産性アップを目的に、要件定義通りにシステム開発したのは間違いない。お客様はそれを期待して5000万円ほどの費用を投じたのだ。しかしシステムを導入すれば自動的に営業の生産性が上がるわけではない。そんなことは常識ではないか。
一人一人の営業が日々の営業活動をそのシステムに入力し、 入力されたデータを分析して、改善を続けることによって生産性は上がるのだ。当時の私には「こんなに高いフライパンを買ったのに、美味しいハンバーグが焼けないじゃないか!」と難癖つけている人と同じようにしか見えなかった。
実際、その会社では、営業の半分以上が日々の入力作業を怠っていたために、十分なデータが集まっていなかった。単に営業のトップがリーダーシップを発揮していなかっただけである。
にもかかわらずシステム開発した私たちの責任とされ、2時間ほど責められ続けたのだ。その後しばらくの間、私の上司は精神的に参ってしまった。私が30代前半のころの経験である。
パワハラよりもひどいのは明白
さすがに土下座を強要されたり、大声で怒鳴られたりするようなことはそうそうない。しかし、上司が同じことをやったら「パワハラで一発アウト」と思われるような嫌がらせは、取引先と営業との間でも結構存在するのである。
この記事に関連するニュース
-
「企業のためのカスハラ対策の見直し」と題して、牛島総合法律事務所 パートナー弁護士 猿倉 健司氏によるセミナーを2024年9月27日(金)に開催!!
PR TIMES / 2024年8月14日 13時45分
-
とんかつ屋で「脂を取り除け」と無理難題…“お客様は神様”が生んだ「カスハラ客」のヤバすぎる実態
日刊SPA! / 2024年8月9日 8時53分
-
パワハラやセクハラと並ぶ社会問題、カスハラ対策に役立つ『アンガーマネジメント大全』 8/2刊行
PR TIMES / 2024年8月6日 16時15分
-
「ムカついたからといって撮らないで」駅係員へのカスハラ 東急が対応方針を制定
乗りものニュース / 2024年8月5日 18時12分
-
病院が「患者さま」と呼ぶのをやめ始めた深い事情 横行する「カスハラ」看護師の手を舐める患者も
東洋経済オンライン / 2024年8月4日 11時0分
ランキング
-
1猛暑下でのコメ作り守れ、新潟大 新品種開発、栽培方法を研究
共同通信 / 2024年8月17日 16時39分
-
2バブル期の超豪華客車「夢空間」を“清瀬市”へ 「完全修復します」「活用します」保存とどう両立? 担当者に聞いた
乗りものニュース / 2024年8月17日 15時12分
-
3コミュニケーション能力を活かせる仕事!…営業職「ルート営業」の魅力とは?
まいどなニュース / 2024年8月17日 20時30分
-
4愛車の価値が急落!? ハーレーダビッドソン日本法人の「販売店いじめ」仲間内でも影響に天地の差が…なぜ?
乗りものニュース / 2024年8月17日 16時42分
-
5JINSの「目が小さくならないメガネ」計画比2.2倍 人気の秘密は「3つ」のポイント
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月17日 8時40分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください