「経営」も「宗教」も本質理解できる"超スゴい理論" 「センスメイキング理論」って知っていますか?
東洋経済オンライン / 2024年8月9日 11時0分
たとえばみなさんは、いま『宗教を学べば経営がわかる』という本を手にしている。そして日本のどこかにも、他に本書を読んでいる方がいる。
すると、普通なら「読者はみな同じ本を読んでいるのだから、そこで得る学びは同じだ」と考えがちになる。
これを「実証主義」という。
人と客体〔本書〕が分離されているので、本書の内容を客観的に、正確に読めば、どんな人でもまったく同じ普遍的な学びを共有できる、という考え方だ。
しかし現実には、同じ本でも、そのときどういう心情で読んでいるかは、人それぞれ違う。
「自分がどのくらい経営に詳しいか」「宗教に詳しいか」でも本書の解釈は違うだろう。
1ページ目から読むか、途中から読むかでも、解釈・認識は違ってくる。
このように、「同じ本を読むのでも、読み手(=主体)の立場・心情や行動で、その本の意味づけや解釈はそれぞれ異なる、だから1冊の本に対しても、絶対的に普遍の共通認識はない」と考えるのが相対主義だ。
そして変化が激しい時代には、同じ対象物に対しても、人々の解釈の違い(多義性)は大きくなりがちだ。
たとえば「AIはどのようなものか」「気候変動は人類にどのような影響を及ぼすか」「この会社の存在意義は何か」などに、人によって解釈の多義性が生まれがちになる。
そういう時代だからこそ、「組織の全員が解釈をなるべくそろえ、納得しながら行動し、その行動から得た解釈が、さらなる納得性を生む」というサイクルを作っていくことが重要、というのがセンスメイキングの骨子のひとつだ。
変化の激しい時代だからこそ「腹落ち」が大事
つまりセンスメイキング理論は「腹落ち」の理論といえる。センスメイクには「腹落ち」という意味がある。
センスメイキング理論の経営実務への含意は、「変化の激しい時代に、腹落ちの弱い企業は生き残れない」ということだ。
人は腹落ちをしてこそ初めて本気で行動するし、それが組織を動かす最大の原動力になるからだ。
一方、多くの日本企業の課題は、社内で従業員、場合によっては経営者までが「この会社は何のためにあるのか」「どういう未来を作りたいのか」について多義的になり、全員が同じ方向で腹落ちしていないことにある。
近年注目されている「パーパス経営」のように、「パーパス」「ビジョン」を掲げる企業は、表面上は増えてきている。
他方で、その社員たちが本当に同じ方向感で腹落ちしているかは、疑念を抱かざるをえない。
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