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「世渡り上手な人」が大きな結果を出せないワケ 「干された時」こそ相手の懐に入るチャンス

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 17時0分

「正直さ、素直さ、そして正面突破」。

これらが大切なんだと思う。ちなみに、これは僕の言葉ではない。僕を作家にしてくれた伝説の編集者にして幻冬舎社長の見城徹さんの言葉だ。

僕が見城さんによるこれらの言葉を聞いたのは34歳の頃だった。雷に打たれるような衝撃を受け、ものすごく自分が恥ずかしかった。なんとなく誤魔化し誤魔化しやってきて、「世渡り上手」みたいな嫌らしさを見透かされ、指摘されたからだ。

それからは、僕はなるべく人に誠実に、正直に、そしてなるべく素直に接するように心がけている。

もちろん失敗して、元のキツネみたいな狡い自分になることもある。それでも、少しでも正面を外さずに、突破してやってきたつもりだ。

仕事から干された

正面から突破すると、側面からの突破より自分へのダメージが大きい。ガードも無意味だ。でも、突破したあとの結果はまるで違うし、清々しさもまったく異なる。僕が36歳で東京から福島の病院に移った時、人生史上もっとも厳しい目にあった。

僕は仕事から干されたのだ。

外科医にとって、最高にして唯一の報酬とは何か知っているかな。お金ではない。時間でもない。お酒……は好きだけど、最高ではない。

正解は「手術をすること」なのだ。

おかしいと思うかもしれないけど、これは真実だ。外科医はみんな手術がしたい、そして自分の手で患者さんを治したいから外科医になったし、外科医を続けているし、辞めないのである。

僕は福島の病院に移ってから3カ月で1件しか手術をさせてもらえなかった。

僕の当時の歳だと、僕が患者さんの主治医になって、そうするとイコール執刀医になる。

だから、週に一度やっている外来に手術が必要になる大腸がんの患者さんが割り振られたら、それは手術をすることになる。要は、そういう患者さんを一人も振ってもらえなかったということだ。

僕ははじめ、仕方ないよな、と思っていた。その病院で10年も20年も働いている外科医からしたら余所者だったし、なんの後ろ盾もなかったからだ。

だけど、これでは僕の腕が錆びてしまうし、外科医としてここで働き続けられなくなってしまう。それは別の上司との約束を破ることになるので、絶対にダメだ。

そう思った僕は、とにかく正面突破をしようと思った。他に根回しをして患者さんを割り振ってもらう作戦もあったが、それではいけないと思った。

正面突破は人生の扉を開く鍵

直談判でどうなったか?

そこで、何日もかけて「公平な仕事の分配について」という書類を作り、4人いた大腸専門外科医に公平に患者さんが割り振られる案を上司のT先生のところへ持って行った。

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