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創業10年で「味が完成」赤坂博多ラーメン店の格闘 マズいと言われてたのに…独学重ね"極上の一杯"に

東洋経済オンライン / 2024年8月9日 9時30分

その後、コロナ禍になりお客さんが一気に減ったところで、時間のできた馬場さんは少しずつ味の改良を行っていく。

「お客さんの会話にそっと耳を傾けていると、『ここは安いから来ているんだ』と言っているのを聞いたり、お店の前を通った人が『この店マズいよね』と言っているのを耳にしたり……『このままこの店を続ける意味はあるのか?』と悔しくなっていったんです」(馬場さん)

また、九州出身でない馬場さんには、博多ラーメンは作れるわけがないと馬鹿にされていたのもあった。

「ここからは少し尖っていても7割のお客さんが満足できるものを作ろうとマインドを変えました。豚骨ラーメン店の厨房を撮影したYouTubeを片っ端から見ては、自分のラーメンで試してみることの繰り返しで少しずつコツをつかんでいきました」(馬場さん)

ここから豚骨ラーメン店の食べ歩きがスタートし、いろいろなラーメンを食べる中で、馬場さんは豚骨の熟成臭のあるラーメンを目指すことにした。YouTubeで3~4秒だけ映っている寸胴鍋を穴の開くほど見て自分のラーメンに生かしていった。

熟成臭のある豚骨ラーメンは「呼び戻し」の製法が一般的だ。寸胴鍋を決して空にせず、古いスープに新しいスープをつぎ足しながら作る製法である。

一方で、多店舗展開をするチェーンの豚骨ラーメン店のほとんどは「取りきり」のスープである。寸胴鍋に決まった量の豚骨などの素材と水を入れ、毎日その都度煮込んで作る技法だ。当時、「和」も取りきりでスープを作っていた。

熟成臭のある豚骨ラーメンを目指すならば、ここで呼び戻しの製法に移行するのが一般的な考えだったかもしれないが、馬場さんは取りきりの技法で熟成臭を出せないかを研究し始めた。

「いろいろ考えて取りきり×熟成を目指してみることにしました。取りきりスープに呼び戻しの旨味を取り入れられないかと試行錯誤したんです。取りきりの製法ならばスープを煮詰めて濃厚にすることもできます。フレッシュな肉感のあるスープと、骨がグズグズになるまで煮た重いスープを合わせれば、美味しい豚骨スープが完成するのではないかと考えたんです」(馬場さん)

ここから先、5年ほどかけて常にラーメンをリニューアルし続けているが、最初のほうは濃厚さに振ったリニューアルだった。濃度を上げることで以前よりも旨味を強めていくやり方だ。

このリニューアルで少しずつお客さんがついてきたが、作っていくうちに馬場さんの理想も上がっていく。その後、濃度を少し下げつつも旨味や熟成感をうまく出すようにし、4年ぐらい経った昨年末から表面に泡を浮かべるようにした。この頃から少しずつラーメンファンから噂が立ち始める。

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