存在感増す「ビデオ判定」ジャッジ支える技術の今 ソニー、スポーツ観戦「もっと楽しく」の超進化
東洋経済オンライン / 2024年8月10日 9時0分
「激しいプレーの多いラグビーでは、脳震盪の疑いがある選手は一時退場して医師による診断を受けなければならない。HIA(ヘッドインジュアリーアセスメント)というサービスでは、ビデオリプレイ技術を使っていろいろな角度から危険なシーンの映像を確認。接触時の状況を知ることで診察に役立ててもらっている」(原氏、以下同)
ボールのトラッキングで瞬時に判定
トラッキングについては、ボールのトラッキング技術を用い、サッカーでのゴール判定(GLT)のようにシンプルにボールがラインを超えたかどうかの判定を行っている。
「各方向から7台のカメラを設置し、3Dで空間認識してラインを越えたかどうかを計測している。ラインを越えた確かなゴールであれば、審判が手首につける時計のようなデバイスに瞬時に連絡がいくようになっている」
そのほかテニスのイン・アウト判定(ELC:Electronic Line Calling)などにも活用されている。テニスは通常、主審、副審のほか、ライン判定に8人の線審がつくが、一部世界大会については主審、副審とホークアイのみで判定を行っている。
「トラッキング機能が向上してきたことで、最近ではメジャーリーグをはじめ、プロ野球球場では8台のカメラとサーバー群を導入している球場があり、試合中にフィールドで起きるすべての事象をデータ化することができるようになっている。すべてのプレイのほか、ボールについても1秒間約300コマで、コマごとにボールの縫い目の位置を解析し、回転の軸や方向性、回転数もデータとして取得している」
トラッキング技術では、複数のカメラで一カ所を捉えることが重要になる。ボールの軌跡はさまざまな角度からの画像を合わせて、立体的な画像に仕上げていく。
また、人間のデータについては、目、鼻、口、耳、肩、肘、手首、腰、膝、足首など人間の29点をもとにデータを集め、移動の動きなどすべてわかるようになっている。
その結果は瞬時に再現することができ、さまざまな角度から自分の見たい方向で見ることができる。ちなみに、データを使って瞬時に画像を再現するのは実際には容易なことではない。相当な量のデータを集め、計算しなければならないため、今もかなりの規模のサーバーを現場に複数台置いて、解析している。
「この技術を使った事例としては、サッカーのオフサイド判定にも使われています。ボールが蹴られた瞬間のボールおよびオフサイドライン、攻撃側の選手の位置のデータを持っているので、その瞬間を捉えて判断できるようになっています」
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