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ぶっちぎり世界でも3位「地面師たち」制作秘話 大根監督「騙される人を見るのが好きな国民性」

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 19時0分

「映像業界でも『なんでこんなドラマができちゃったのか』っていうことがなくはない。それはたぶんきっと主役のスケジュールを押さえてしまっているとか、上からGOサインが出て、準備不足のまま現場はヤバいと気づいても走らざるを得ないみたいな。だから、大きな会社に勤めた経験もなければ、サラリーマンという職業に就いたことがない僕でも想像しやすくもありました」

すり抜けて間違いが起こる皮肉さは、まさにドラマの中で表現されています。エンターテインメント作品としてデフォルメはされているものの、社内派閥の存在や通りにくい稟議書が社内で通ってしまうある種の生々しさが描かれています。

ジャンルは「ドッキリ」?

ドラマ「地面師たち」で感じる皮肉さは他にもあります。まず、単純な面白さとして、綾野剛や豊川悦司らが演じる地面師集団の騙す側と、山本耕史が登場する騙される側の不動産デベロッパー、そしてリリー・フランキーが警察役で地面師を追う側という3つの視点が混合し、さらに大根監督が演じる役者を想定して脚本を書き上げた、いわゆる当て書きならではの魅力があります。

にもかかわらず、大根監督の言葉を借りると「まともな奴(キャラクター)が1人もいない」のです。結果として、それが「面白い」と思わせるのはある意味、皮肉。大根監督が狙ったことでした。

「基本的には役者を撮るのが大好きなんですよ。どんなに悪い役でも僕が撮るとチャーミングになると思っています」と前置きしつつ、「今回は、誰一人として感情移入できるキャラクターがいない作りをあえてやりました。感情移入って共感とか応援という意味合いで使われていると思うのですが、そういう意味では『地面師たち』の場合、応援したい奴もいないし、共感もできない。ただ、物語に感情移入できるようにすれば、キャラクターが後からついてくるような気がして。だから、誰が見ても楽しいものになるんじゃないかなって」

実際に中毒性を持った面白さがあり、それが一気見視聴を促しています。続けて説明してくれた大根監督独自の見解も興味深いものがありました。このドラマには「ドッキリ的な要素もある」と言うのです。

「日本はバラエティー番組の中でドッキリというジャンルが長く定着しています。手口からやり方まで新しいものが次々と生まれて、たとえば『水曜日のダウンタウン』のようにドッキリの進化系まである。日本人って騙される人を見るのが好きな国民性なんじゃないかと思っています」

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