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ぶっちぎり世界でも3位「地面師たち」制作秘話 大根監督「騙される人を見るのが好きな国民性」

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 19時0分

100億円規模の不動産をめぐり、変装も使って、死体もゴロゴロ出て、あらゆる手段で騙しにかかるストーリー部分は、エンターテインメント作品として成立させた「壮大なドッキリ」として確かに捉えることができます。

日本ならではの特殊性

日本人好みのドラマとも言えるなかで、そもそもドラマ「地面師たち」は映画やテレビドラマでは成立しにくかった企画でもありました。関連事業やスポンサー事情がネックになるからです。「Netflixっていう手があるか――」。そう思って、大根監督が持ち込んだ経緯からも皮肉さあふれます。

Netflixオリジナル作品として企画が成立した背景については、Netflixの高橋信一エグゼクティブプロデューサー(以下、EP)の答えが腑に落ちます。

詐欺の手口としての“なりすまし”に「日本ならではの特殊性」を感じた高橋EPは、話し合いを始めた時点から大根監督がそこに面白さを見出していることに気づき、信頼を寄せたそうです。

「アメリカでも他の国でも不動産詐欺はあるものですが、基本的にはシステム上で騙すものが多い。そもそも不動産取引上で所有者と直接会って“本人確認”するといった手順は多くありません。だからこそ、日本の詐欺には人をすり替えるという発想があり、なぜこんな不動産詐欺が起こってしまうのかという他にはないストーリーが描けます」

盛り上がりが徐々に世界にも拡張

大根監督も「ドメスティック極まりない話も突き詰めていけば、いろいろな国の人に興味を持ってもらえるんじゃないか」という想いを共有していました。ただし、それは海外マーケットを意識して作るものではなかったと言います。

「自分の身の回りの半径1キロ圏内のことを描いたものが結果、海外でも面白いと思ってもらえるのが一番の理想形だと思うんですよね。例えるなら、映画『タンポポ』における伊丹十三っぽさ。どんなことをしている人たちなのか、職業と言うべきか、地面師は国を問わず興味を湧かせることができる題材のひとつだと思って作りました」

結果にもあらわれています。日本のNetflix週間ランキング(シリーズ)で2週間連続1位を記録。Netflix公式の週間グローバルランキングでは順位を上げ、初週の8位から3位に上昇。15の国でTOP10入りを果たしています(7月29日~8月4日集計/シリーズ/非英語部門)。

アジアでは日本のほか、韓国、香港、台湾、シンガポール、タイといった主要国で反応を得て、アフリカや南米地域でもランキングに上がるほど人気が広がっています。国内での盛り上がりが徐々に世界にも拡張する動きは、これまで各国で生まれた世界ヒット作品によく見られる現象です。大根監督が言うような理想形をドラマ「地面師たち」は歩んでいると言えます。

長谷川 朋子:コラムニスト

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