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燃料供給不足、背景に海外航空のドタキャン問題 空港会社や国も動いているが、解消できるのか

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 9時0分

燃料を供給できず、海外エアラインが国内空港への就航を断念する例が増えている(記者撮影)

インバウンドが急回復する中、ジェット燃料の供給不足で海外エアラインが日本で給油できず、新規就航や増便を見合わせる事態が多発している。国土交通省などによれば、成田空港を中心に全国で週あたり140便程度の新規就航や増便を断念する例が確認されているという。

【グラフで見る】 ジェット燃料の供給量は復活しているが・・・

航空会社が10月からの冬ダイヤを組む中で、「石油元売り各社から航空燃料の供給を受けることができず、やむを得ず運航を見合わせる事態が多数生じている」(北海道庁)といった悲鳴が上がっていた。

なぜ今年になって燃料供給不足が表面化しているのか。

国も対策に乗り出した

燃料不足の問題を受け、国交省と資源エネルギー庁は共催で「航空燃料供給不足への対応に向けた官民タスクフォース」を6月に立ち上げた。7月には各空港での需要量の把握、供給力の確保、輸送体制の強化などを含めた「行動計画」を公表している。

7月上旬には成田空港向けに韓国からジェット燃料が緊急輸入された。また北海道では、定期修繕に入っている出光興産北海道製油所の代わりに、本州の別の製油所での増産を特例的に国が認めている。

国は運送会社に呼びかけ、予備のタンクローリーや乗務員を捻出、月1万5000キロリットル分のタンクローリーを確保。海運業者とも連携して運送計画を変更、外航船の内航船転用で新たに3隻の燃料運搬船を確保した。こうした対策で当面、アジア便週150便超相当の燃料を確保する。

石油元売りは石油製品の長期的な需要減を見越して製油所の閉鎖を進めているが、ジェット燃料の供給量は2023年度ですでにコロナ禍以前の水準に回復している。また、不足分はこれまでもその都度、韓国などから輸入してきた。つまり、今回表面化した燃料不足は供給量の問題ではない。

「元売りは年間計画で輸送体制を組んでいる。そこにインバウンドが急増し、人員や機材が手当できない。空港までの輸送体制が足りておらず、急なニーズになかなか対応できていない」。経済産業省資源エネルギー庁 燃料供給基盤整備課の永井岳彦課長はそう話す。

タスクフォースでは、タンクローリーや燃料を運ぶ内航船の乗員不足、荷主となる石油元売りの系列化が進んだことで、いわゆる「フリー船」が減少し、輸送体制が硬直化していることも話題に上った。

確かに人手不足は輸送力のボトルネックになっている。ただ、輸送体制の系列化については「内航船大手は系列をまたいで石油製品を運搬しており、年間契約で船を動かしているにしても、需給にばらつきが出れば社内で調整するはず。そもそも燃料需給にばらつきが出れば系列間で調整している」(経産省幹部)。

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