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急成長の「請求書サービス」、2トップが真っ向勝負 Sansanとラクスが互いの得意領域に本格進出

東洋経済オンライン / 2024年8月10日 9時0分

ラクスもそこのニーズは認識しつつも、発行サービスではまだまだ紙の請求書が多い状態。請求書の受領作業を効率化するサービスが伸びていくスピード感は読み切れていなかったという。そこで楽楽精算の中でオプションとして受領サービスを開始したものの、本格的なプロダクトはなかった。

そんな中、先手を打ったのがSansanだった。請求書受領サービス「Bill One」を2020年にリリースすると、その後急成長。紙で届いた請求書を代理でデータ化する事業も奏功し、大量の請求書をさばく必要がある大手企業を中心に導入が進む。

Bill Oneの2024年5月期の売上高は61億円と、前期の2.5倍に拡大。有料契約件数は2816件で、解約率も0.42%と低い。

Sansanの大西勝也・Bill One事業部長は「経理の課題解決を考えたときに、請求書の受領領域はまだまだアナログだった。当社は名刺管理のサービスで、アナログな情報をデジタルに置き換えていくというナレッジがあったことも大きい」と話す。

まずは中小企業から攻めるラクス

請求書の受領サービスは発行サービスに比べると、まだ市場規模は小さい。ラクスが全国の経理担当者を対象に請求書受領システムの導入を検討しているかアンケートしたところ、すでに導入しているとの回答は約2割にとどまった。

Sansanが先行する市場で、ラクスは顧客数の多い中小企業から攻めていき、将来的に大手企業も含めて対応していく考えだ。これまでの楽楽シリーズと同様、業務フローを変えないまま業務効率化を実現できる使い勝手のよさで、顧客獲得を目指す。

「ニーズをとらえていくところとして、まずは顧客基盤がすでにあり、知見を持っている中小企業を攻めていく。3~6年でARR(年間経常収益)100億円を目指したい」(ラクスの吉岡氏)

一方のSansanが新たに手がける請求書発行、経費精算の領域で重視するのは、一貫性だ。

同社が実施したアンケートでは、経理担当者の約7割が、振込名義と請求書情報の突き合わせなどを行う「入金消込」(実際に入金が行われた際に売掛金としてのデータを消すこと)の業務に課題を感じていたという。

そこでSansanは銀行代理業として「Bill One Bank」を開始し、入金専用の仮想口座を発行することで、消込業務をより精度高く、手間がかからないようにする。また経費精算では、Bill Oneの専用カードを発行し、経費支払いで従業員に利用してもらうことで“立て替え払い”そのものをなくす。

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