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「継続は力なり」が脳科学的になかなか難しい根拠 「赤ちゃんでも飽きる」のに大人が飽きるのは当然

東洋経済オンライン / 2024年8月11日 16時0分

心理学の用語では、「慣れる」ことや順応することを「馴化」(じゅんか=habituation)と称します。平たく言えば「マンネリ化」です。

馴化は、人だけではなく動物にも起こる現象であることがわかっています。

ただし一度馴化をしても、異なる刺激を与えると、また反応は回復します。それを「脱馴化」(dishabituation)と言います。

馴化と脱馴化の関係を利用した研究法のことを「馴化―脱馴化法」と呼びます。この研究法を利用して、今まで乳幼児の多くの性質が明らかにされてきました。

たとえば、赤ちゃんの行動を考えてみると、馴化と脱馴化の関係がよくわかります。

赤ちゃんにあるものを見せたとき、赤ちゃんは最初、それをじーっと見つめているものです。赤ちゃんは目新しいものが大好きだからです。

けれども、しばらく見せているうちに、赤ちゃんはそれに慣れ、あまり反応してくれなくなります。これが「馴化」です。赤ちゃんにとって、それは興味の対象ではなくなったということです。

そこで、赤ちゃんにまったく別のものを見せたとします。すると、赤ちゃんはまた大きな反応を示してくれます。「さっき見せられたものとは明らかに違う」と、認識をするからです。

このように、異なる刺激で反応が回復する現象が「脱馴化」です。

赤ちゃんでも飽きる

馴化や脱馴化が脳のどこで起こるのかを、突き止めた実験もあります。大阪大学の中野珠実准教授の研究をご紹介しておきましょう。

中野准教授は、乳児期初期の前頭葉の活動を研究されています。

乳幼児の前で「バッバッバッバ」という音声を発し続け、突然それを「パ」と変えたとき、前頭葉のある部分で、馴化と脱馴化が起こるという事実がわかりました。

多くの脳科学者が指摘してきた事実ですが、やはり前頭葉は脳の中でもキーとなる部位なのです。

また、この実験結果は「赤ちゃんでも飽きる」ということを教えてくれています。

人生が始まったばかりの赤ちゃんでも「飽きる」のですから、私たち大人が「飽きる」のは、もはや当然なのです。

脳に対して、「興味の対象」を次々に提示していく。これが「続ける」ためのドーパミン・コントロールです。赤ちゃんのご機嫌をとる感覚で、楽しませていけばよいのです。

このような「常に新しい刺激をほしがる」という脳の性質さえ把握しておけば、ドーパミン・コントロールを効率よく行うことができます。

菅原 道仁:脳神経外科医・菅原脳神経外科クリニック院長

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