「臨月で被災」「分娩中に余震」「出産難民」の壮絶談 妊娠・出産中に被災した人の体験談から学ぶ
東洋経済オンライン / 2024年8月11日 12時0分
地震、台風、豪雨、大雪など全国で起きている災害のニュースを見て、「子どもの命を守るにはどうしたらいいか」と悩む親は多いのではないでしょうか。
『全災害対応!最新子連れ防災BOOK』では、自分と子どもの命の守り方から安全な避難生活まで最新防災情報を網羅しています。
同書から一部抜粋し、3回にわたってお届けします。
東日本大震災に臨月で被災
臨月に、地震で故郷が一瞬で消滅。どうしたらいいのかわからずに不安定になった。出産が急に恐ろしく思えた(30歳妊婦)
出産を控えていた私は、漁港のすぐそばにある実家で過ごしていました。突然の地震で慌てる私たちに、海の怖さをよく知る元漁師の祖父が「急いで逃げるぞ」と言い、すぐに車で高台の小学校へ避難しました。
私の実家から離れた場所で働いていた夫の安否はわかりません。「海から離れた場所にいるはずだから大丈夫」と信じることしかできませんでした。
翌日、明け方に私と母は流された自宅を見に行きました。高台から見下ろした私の故郷は跡形もなく流されていました。実家があった場所には、大きな漁船があり、戻る場所はもうないのだと実感し、避難所である小学校へ戻りました。避難所には夫がいて、無事再会。
通勤路が通行止めで帰宅できずに、会社の駐車場で一晩過ごしたようですが「車でまともに通れないほど道路の状態がひどく、途中でたくさんの遺体を目にした」と言っていました。
家族全員大きなショックを受けていましたが、臨月だった私の一番の不安は、無事に出産できるのか、病院は被災していないのか、ということ。あれほど待ち望んでいた出産が急に恐ろしく思えました。そんな状況の中、設備がない被災後の病院で、予定日どおりに出産。安産で安心しました。この子の顔を見ることができたのは、祖父の判断のおかげ。家族全員生き延びるには災害への知識と備えが必要だと感じました。
余震が続く中で出産
緊急用電源を利用して、余震が続く中で出産することに。ベッドが揺れ、薄暗くてとても怖かった(35歳妊婦)
東日本大震災で被災したのは、妊娠10カ月のとき。もういつ生まれてもおかしくない状況でした。実母は体調が悪く、夫の実家も遠いため、産後ヘルプサービスや民間の産後ケアを利用しようと思っていました。地震のあとすぐに病院に電話をしたところ「産気づいたらすぐにきてください」とのこと。「電気や水道は緊急用のものがありますから」と言われましたが、不安でいっぱいになりました。
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