「怒りの感情」を根本から抑える"発想の転換法" 「アンガーマネジメント」より手前にあるもの
東洋経済オンライン / 2024年8月12日 18時0分
「脳の機能がよくなる」「成長や変革につながる」「パフォーマンスが上がる」等々、人は「機嫌がいい」状態になることでさまざまなメリットを得られる一方、「不機嫌な状態」がもたらすデメリットは計り知れないほど大きいと、スポーツドクターの辻秀一氏はいいます。
それではいったい、人が「機嫌がいい」状態を自発的に維持していくにはどうすればいいのでしょうか? 39万部のベストセラー『スラムダンク勝利学』の著者でもある辻氏が、その秘訣を解説します。
※本稿は辻氏の著書『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
「怒り」をコントロールするよりも大切なこと
多くの人が「怒り」のコントロールができずに人生を失敗したり、大事なものを失ったりしている。この「怒り」を意味する「アンガー」の感情マネジメントには世界中で関心があり、「アンガーマネジメント」なる言葉や対策や組織が生まれてしっかりと機能している。
【イラスト】ネガティブな感情を生み出す「不機嫌な海」と「ごきげん大地」のイメージ
あるテレビ番組で「アンガーマネジメント」の特集があり、脳科学の先生が「怒り」のメカニズムを説明したり、アンガーマネジメント協会の方が「怒り」のコントロールの仕方を詳しく解説されていた。
その番組に、以前より懇意にさせていただいている松岡修造さんに声をかけていただき、アンガーをマネジメントするのではなく、最大の予防は「ごきげんマネジメント」ではないかとお話をさせていただく機会を得た。
アンガーをマネジメントしているうちは、「怒り」というネガティブな感情の中にいる。「機嫌がいい」という「ごきげん」にフォーカスし、「ごきげん」をマネジメントすることが重要なのではないかということをたくさんの方に届けられたのではないかと思っている。
「機嫌がいい」を自らマネジメントする
わたしたち人間は怒りなどのネガティブな感情を生み出し、「不機嫌の海」の中で泳いでいることがしばしばある。それはネガティブな感情を契機に何かの行動を誘発する動物としての原始的なメカニズムを、人間という高等な領域で実施しようとするからだ。
相手の考えが自身の考えと違うと、自己正当化するために怒りの感情で攻撃する。生命の危機につながるような事態が起これば、命を守るために怒りの感情で自分たちを守る。ときには、それで戦争すらしているのだ。
動物は生命維持や種の保存のためにのみ怒りの感情で戦うが、人間には高等な脳があり、それ以外のさまざまな理由で怒りの感情を有して攻撃をする。利益をめぐってだったり、宗教上の対立であったり、領土の問題であったり、過去を根に持つことであったり、などなどだ。
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