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「刀剣乱舞」企業をサイバーが167億円買収の衝撃 悲願成就へ「過去最大規模M&A」に打って出た

東洋経済オンライン / 2024年8月12日 8時0分

きっかけはニトロプラス側からの打診だったという今回のM&A。サイバーエージェントの藤田社長の”ある作戦”が功を奏した形となった(左画像:サイバーエージェント公式サイトより、右写真:記者撮影)

藤田晋社長の悲願成就へ、大きな一歩を踏み出した。

【写真で見る】サイバーエージェントの藤田社長とニトロプラスの小坂崇氣代表の対談の様子

サイバーエージェントは7月、ゲームやアニメなどのエンタメコンテンツを手がけるニトロプラス(東京都中央区)を買収した。

個人株主から、議決権ベースで72.5%の株式を約167億円で取得。サイバーエージェントにとっては過去最大規模のM&Aとなる。ここ数年の国内エンタメ業界におけるM&Aでは、2023年の日本テレビ放送網によるスタジオジブリ買収(同42.3%の株式を155億円で取得)を超える規模となった。

ニトロ側からグループ入りを打診

ニトロプラスは2000年設立。代表作には、名刀を擬人化した『刀剣乱舞』シリーズなどの有力IP(知的財産)を抱える。『Fate/Zero』や『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCHO-PASS』といった人気作のシナリオを手がけた虚淵玄(うろぶち・げん)副社長は、業界で一目置かれる存在だ。

こうしたIPのメディアミックスによるライセンス料のほか、製作委員会への出資に伴う分配金などを主な収益源とする。2023年8月期の売上高は40億円、営業利益は12億円だった。

これまでニトロプラスには多くのM&Aの話が持ち込まれたが、独自の風土を守るべく、すべて断りを入れてきたという。しかし、今回は一転して、2024年1月にニトロプラス側からサイバーエージェントにグループ入りを打診したという。

今後も外部パートナーとのコンテンツビジネスは継続し、経営幹部も続投する。そのうえで、まずはサイバーエージェントグループから支援を受け、育成・評価制度などの整備に取り掛かる。

なぜニトロプラスは、サイバーエージェントの傘下入りという道を選んだのか。

サイバーエージェントはもともとM&Aに対してさほど前のめりではなかったが、ここ数年はIP関連企業の買収を積極化してきた。2022年には日本アカデミー賞受賞監督の藤井道人氏を擁する映画・ドラマ制作会社のBABEL LABELを、2023年には『テニスの王子様』などの2次元コンテンツを原作とした「2.5次元舞台」の有力制作会社・ネルケプランニングを矢継ぎ早に買収している。

背景にあるのが、創業者である藤田社長のIPビジネスに対する関心の高まりだ。

サイバーエージェントは祖業の広告代理や動画配信サービス「ABEMA」など多岐にわたる事業を展開する一方、海外への本格進出が積年の課題だった。海外売上比率は現状1割に満たず、藤田社長自身「海外はつねに狙っているが、明確に売れるものがずっとない状態だった」と振り返る。

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