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多くの大人が決して言わない「残酷なお金」の現実 「手取りはすべて使い切り、職業はこう選べ」

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 18時0分

このお金があれば、僕がいなくても君たちは好きな学校に行けるし、大学を出るまでお金に困ることはあんまりない。君たちのママだって、大変な思いはするだろうけど飢え死にすることはない。

だから僕は今、必死でお金を稼ぎ、なるべく使わないようにしているんだ。

貧乏が恋愛まで影響する

そして、もう一つお金について大切なことを伝えたい。

「お金は、嫌なことを減らす道具である」ということだ。前述したように防具と言ってもいいし、ディフェンス力を上げるものとも言える。

お金があるから、寒い日に暖かい服を着て風邪を引かないですむ。お金があるから、誰かが困った時にすぐ飛んで行ってあげられる。どうしてもお金が足りなくて困っている人に、そのままあげることだってできる。

そしてすごくお金があれば、やりたくない仕事はやらなくていいし、好きなことだけをして生きていける。もっともそんな人はほとんどいないし、好きなことだけをして生きていても3日で飽きるらしいけれど。

僕は、15歳の時に、「小説家になろうか」という思いが頭をよぎったことがある。

小説家はどうやったらなれるのかよくわからないけど、すぐなれそうな気がした。本を読むのは好きだったし、書くのもきっと上手だろうと思った(のちにそれは勘違いで、大変なトレーニングが必要だと気づく)。

一方で医者になるには、大学の医学部に合格しなければならない。医学部の偏差値は高く、入るのがとても難しい。特に英語と数学と理科が壊滅的にできない僕の成績では、絶対に入れない気がした。

1年間ずっと悩んだ。ここで一生が決まると思ったからだ。

その時、『青春の蹉跌』(石川達三・著)という小説を読んだ。これはぜひ中学か高校の時代に読んでほしい本だ。司法試験という、日本で一番難しいとされる試験の合格を目指す大学生が主人公だ。貧乏で、お金を借りて学費を払い、そのことが恋愛にまで影響して苦しむ話だ。

僕はこれを読んで、「まずこの世界できちんと金を稼いでいかねばならない」と思った。

この世界は生まれつき金持ちな人がいる一方で、そうでもない人が大勢いるというとても不公平なところだ。そして、確実なことなどほとんどない、予測不可能な場所でもある。そんな場所で、しかしひとりで金を稼いで生きねばならない。これは大変なことだ。

そしてとても残念な事実だが、この世界は誰かに勝たなければ、誰かから奪わなければ自分の持ち分は増えない。僕が医学部に入った分、誰かが落ちているのだ。少なくとも、誰かに勝たなければならないのだ。

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