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ふるさと納税「ポイント禁止令」は悪手でしかない 「もぐらたたき」総務省"指導"はどう影響する

東洋経済オンライン / 2024年8月13日 12時0分

とはいえ、ここまではあくまで総務省VS自治体のラウンド。我々ふるさと納税の利用者は外野で眺めていただけだ。が、他人事ではない事態が起きた。「ポイントの禁止」である。

総務省は6月25日に、「2025年10月から、ポイント等を付与するポータルサイト事業者等を通じて自治体が寄付を募ることを禁止する」と発表したのだ。

前段にあったのが、昨年10月以降のもうひとつの改正、「5割ルール」の適用厳格化だ。これまでもふるさと納税の募集にかかる経費は寄付金額の5割以下に収めるというルールはあったが、扱いがバラバラだったふるさと納税ポータルサイトへ支払う手数料も「募集にかかる費用」に含まれるとした。

これまで入っていなかった経費がそこに入れば、これまでと同じ金額を寄付しても返礼品分が目減りするのではないか、これは「実質値上げ」ではないか、とずいぶん騒がれたものだ。

今振り返ると、「ポータルサイトへ支払う手数料」が狙い撃ちされていたのだとわかる。総務省の言い分は、自治体から各ポータルサイトに支払われている手数料が、利用者に付与されるポイントの原資になっている可能性がある。それがなければ手数料が下がり、純粋に寄付に回る金額が増えるはずだ――との考えらしい。

ポータルサイトを敵視しすぎると“やぶ蛇”に?

総務省の頭にあったのは、例えば楽天だろう。「楽天ふるさと納税」を利用すると、寄付に応じてポイントが付与されるので、節税と返礼品とポイントの三重取りができる。保有ポイントを使った寄付もできる。さらに、「お買い物マラソン」などのキャンペーンでは、ふるさと納税の件数に応じてポイントが2倍3倍に上がったりもする。ポイ活に熱心な楽天経済圏のユーザーは、これらポイント倍増キャンペーン時にふるさと納税を済ませるのが常識だった。総務省はショッピングである楽天市場と、国の制度であるふるさと納税とが同じサイト上で一律に並ぶことを苦々しく思っていたのかもしれない。

楽天は「ポイントの原資は自社で負担している」と主張、反対するネット署名を呼びかけている。8月2日時点で反対署名数は185万を超えたといい、署名とともに方針の撤回を政府・総務省に申し入れする予定だ。

このケンカに楽天が勝てるとは思わない。が、その“負け”はふるさと納税制度全体に、いい影響を与えないのではないか。というのも、自社が付与してきたポイントやマイルを禁止されたら、ふるさと納税から撤退するサイトが出てくる可能性もあるからだ。

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