TV放送収入急減は小休止だが、楽観視はできない テレビ視聴者はいよいよネット世代に入れ替わる
東洋経済オンライン / 2024年8月14日 11時0分
ネット世代は2015年には少数派だったのが、2025年には半々になり今後は多数派になっていくのだ。
「コア視聴率」が重視されてきている
最近のテレビ視聴の指標は、基本は個人視聴率だが、数年前から各局が「コア視聴率」を第2の指標に掲げ、49歳以下を重視している。多くの企業は若い世代をターゲットに商品を売りたいので、コア視聴率が大事なのだと言われる。2つのピラミッドからわかるのは、テレビ世代がコア視聴率の上限から外れ、対象者は完全にネット世代になってきたことだ。それはどんな影響を及ぼすだろう。
7月の東京都知事選では、小池百合子氏が圧勝した一方で蓮舫氏は3位、ダークホースだった石丸伸二氏が2位に浮上したことが話題になった。テレビの選挙報道では当初「小池vs蓮舫」の構図で伝え、石丸氏は田母神俊雄氏とともにその次のグループと位置付けられていた。だが街頭演説とYouTubeを駆使した石丸氏のほうが蓮舫氏より得票数は多かった。さらに、選挙期間中はテレビ報道がゼロだった安野貴博氏はやはりYouTubeで支持を広げ5位につけ、選挙後に盛んにテレビに呼ばれていた。
この都知事選の結果は、メディアにおける世代交代の影響が初めて表れた現象だと私は考えている。若者が政治に興味がないというのは中高年の偏見で、自分を託せる候補者がいれば投票する。テレビが主要候補扱いしなくても、YouTubeで自分で探して投票すべき候補が見つかれば支持する。
テレビ番組も、これまでと根本的に作り方の感覚を変えないと、蓮舫氏と同じようにネット世代から支持されなくなるのではないだろうか。
テレビ局にできること
放っておくと今後も個人視聴率はじわじわ下がるだろうが、コア視聴率はより下がっていく。これまでも若い世代を意識した番組作りはしてきただろうが、変化を加速すべきかもしれない。例えば番組の出演者が中高年に寄っているのであれば、世代交代を進めるべきだ。今人気と言われる芸人はほとんどが50代に突入している。「数字を持っている」のような固定観念から離れて、新しいタイプのエンターテイナーを探すべきだろう。
さらに、バラエティ番組は実はバラエティに富んでいないことも、そろそろ考え直すときではないか。芸人が出るバラエティがテレビ番組の中心になっていったのは、80年代から90年代にかけてだ。パラダイムシフトを起こさないとネット世代から支持されない。芸人がわちゃわちゃ騒ぐだけがテレビではないはずだ。
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