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コロナで消えた「駅ナカジュース店」驚きの現在 拡大、派生、衰退…そして新たな出店が始まるまで

東洋経済オンライン / 2024年8月15日 10時0分

このインバウンド客、新大阪駅新幹線改札内の店が特に多く、実に顧客の4割を占めるというから驚く。株式会社カフェの販売促進を担当する岸本綾乃氏は、「海外は牛乳が入ったジュースがあまりないのかミックスジュースは好まず、生しぼりリンゴやアサイーなどのストレート系ジュースを好まれる方が多いですね。900円程度と高額なXLサイズを頼む方もよくいらっしゃいます」と話す。サイズについては、日本人より大容量の飲料を注文することに慣れているからこそだろう。もちろん、ジューサーバーの採算も向上する。

さらに新大阪駅新幹線改札内の店では、「大阪を離れる前に、最後に名物のミックスジュースを飲んでおこう」と購入する需要もあるそうで、ひっきりなしに客が訪れている状態だ。7月の祝日はコロナ後では過去最大の売上で、人がよく移動する連休には、1日の売上が100万円を超えることも珍しくなくなったそうだ。

このようなジューサーバーの復活の理由は、少ない人数で効率的に回せる業態にある。新大阪駅構内など家賃が高い場所であっても、人件費が低いため、売上さえ出せれば利益が上げやすいのだ。この業態は、作業を「レジ」「提供」「作る」の3つに特化しているため成立している。

オレンジカラーの店舗は見た目もかわいく、大学生、高校生を中心に和気あいあいと働ける環境のため、アルバイト募集に集まる人数も多い。意外と男子学生も多く、一度入ったメンバーは大学卒業までなど、長期間働く人がほとんどだという。結果として、提供スピードの速さや、接客スキルの向上にもつながっている。

この人件費の低さに対して、売上に対する原価率は少し高めだ。主力のミックスジュースなどは30%に達しているという。材料となる、国産のリンゴや小松菜は価格変動の幅が大きく、バナナやパイナップルなど輸入品も、円安の影響を受けやすいからだ。

だがそれさえも、人件費を抑えることで賄えるため、ジューサーバーは駅ナカ、駅周辺など通行量が多い場所なら十分に健闘できるのだ。「弊社ではカフェや居酒屋なども経営していますが、ジューサーバーはトップクラスに利益率が高い業態になります」と寺村氏は語る。

さらに、立地によって客層が変わるため、価格やメニューも店舗によって微妙に変える工夫をしている。

例えば、昔からのリピーターのビジネスマンが多い京阪京橋駅ホーム上の店は、原価率高騰のなかでも値上げは抑えめだ。ひらかたパーク店は家族連れがスムーズに購入できることを意識して、通常R・L・XLの3サイズのところを、ワンサイズ・ワンコイン(500円)中心の展開に。さらにひらかたパーク店では、ホイップクリームやタピオカを使ったスイーツ系メニューも充実。新大阪駅新幹線改札内の店は、インバウンドに人気のフレッシュジュースを欠かさない。

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