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コロナで消えた「駅ナカジュース店」驚きの現在 拡大、派生、衰退…そして新たな出店が始まるまで

東洋経済オンライン / 2024年8月15日 10時0分

ギリギリの忍耐が復活への架け橋に

ジューサーバーには今、大型商業施設など、リーシングの声がけが複数あり、前向きに出店を検討している。「次は新大阪駅のように人の往来が多く、待ち時間ができる立地で考えています。梅田や難波、空港などにも積極的に出店していきたいですね」と寺村氏。さらに、元々広く展開していた京阪沿線で空き物件に再出店することにも意欲的だ。

もしもコロナ禍で耐えきれず全店閉店していたら、現状のV字回復はなかった。社員も別部署などに異動したり、退職を選んだりして、ノウハウの継承もそこで途絶えていただろう。だがギリギリ2店舗をなんとか残せたことが、3店舗目のオープンやインバウンドという新たな客層の獲得、そして未来へとつながったのだ。

「コロナ禍、本当にしんどかったけど耐え抜きました。新大阪駅新幹線改札内の店は立地的になんとしても持っておきたかった店舗でしたし、京阪京橋駅構内店も、“京阪駅ナカの店”として愛されたチェーンですから、最低1店舗は残しておきたかったんです」と、岸本氏は苦しい思い出を噛み締めていた。

ジューサーバーの復活劇は、困難な時期を乗り越えるための教訓を示しているのではないだろうか。まず、核となる店舗を維持することの重要性。たとえ縮小を余儀なくされてもブランドの灯を消さないことが、将来の再成長のカギとなる。

次に、普遍的なビジネスモデルの価値。人件費を抑えつつ、高い利益率を維持できる仕組みが、厳しい経営環境下での生存を可能にしたのだ。さらに、立地や客層に合わせて柔軟に対応する姿勢も見逃せない。新大阪駅新幹線改札内の店でのインバウンド需要の取り込みや、遊園地への新規出店など、環境の変化に応じた戦略の転換が功を奏した。

いつの時代も、経営は危機に瀕することがある。そのとき、どの部分を守り、どこで変化を受け入れるか。「変わらないこと」と「変えること」のバランスを取りながら、粘り強く前進する。その姿勢こそが、ビジネスの持続可能性を高めるカギなのかもしれない。

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笹間 聖子:フリーライター・編集者

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