1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

分析力だけでなく仕事に「直感」が必要な納得の訳 憑依力こそ最高の成果を生み出すスキルである

東洋経済オンライン / 2024年8月16日 11時0分

つまり直感は1つの能力であり、日々の意識と行動によって磨くことができる。そのカギとなるのは「好奇心」です。世の中に対する好奇心、人に対する好奇心をもって目を向け続けることで、自分とは異なる属性の人になりきる、その人を自分に「憑依」させる能力が磨かれるというわけです。

たとえば、「なんとかする会社」をスローガンに掲げている当社では、さまざまな業界のクライアントの課題解決に取り組んでいます。クライアントごとに業種も異なれば、ターゲット層も違う。そこで確実にターゲットの心に響き、売り上げアップにつながるプロモーションなどの戦略を提案してクライアントの課題を解決する――つまり「なんとかする」には、そのときどきで異なるターゲットになりきって考えてみることが欠かせません。

40代のオジサンでも、時には「女子高生」になりきる。自分との差異が大きいとデータに頼る部分も多くはなりますが、自分とは異なる属性の人に自分に「憑依」させるという意味での直感が、ここで役立つのです。

このように直感を磨くと、筋のいい仮説が立てられるようになるわけですが、そこで重要なのはターゲットの「本当のペイン」をつかむことです。

ペインとは「痛み」、つまりターゲットが痛みを感じている困り事、課題を正確に把握してこそ、有効な解決法を提案することが可能になるということです。課題設定には「これが課題だ」と思い込むあまり、もっと本質的な課題を見過ごしたり、いらぬバイアスに惑わされたりしかねないという落とし穴があるため、まず「本当のペイン」をつかむことが欠かせないのです。

いくつか当社で担当した事例を挙げると、たとえば「角ハイボール」キャンペーンは、「ウイスキーの売り上げを伸ばしたい」というクライアントの課題はもちろんですが、「ビールでもチューハイでもない、新しくてリーズナブルなドリンクメニューで30代の若者を満足させたい」という飲食店の課題を解決するものでした。

折しも2008年のリーマン・ショック直後のこと、街中では安い立ち飲みスタイルの飲食店が増えていました。そんな状況もうかがいつつ、「ハイボール、はじめました」と銘打ったキャンペーンが考案され、今では、ハイボールがメニューにない飲食店はない、というくらい浸透しています。現在からは想像もつかないかもしれませんが、ほんの十数年前には見られない光景でした。かつてはウイスキーといえば「おじさんが水割りやオンザロックで飲むもの」だったからです。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください