澤上篤人「日本が長期株高トレンド入りした3要因」 投資はマネーの大きな流れに乗っていくこと
東洋経済オンライン / 2024年8月16日 9時0分
資産づくりの投資も、経済全体におけるマネーの大きな流れに、ゆったりと乗っていくことだ。決して、逆らおうとはしない。それが、資産づくり投資の秘訣である。
経済を見ていると、景気が良くなったり悪くなったりを繰り返しているのがわかるだろう。景気が良くなったり、悪くなったりするにともなって、マネーの流れも方向も変わる。それに合わせて、運用先を「株式→現金→債券→株式」という順に切り替えていくのだ。それを、アセット・アロケーションの切り替えという。
どういうことか? 景気が良くなってくると、企業はもちろん個人もカネまわりが良くなり、マネーの動きが活発化する。それにつれて、企業の投資や個人の消費もどんどん活発化する。
すると、経済全体ではマネーは不足気味となっていき、金利が上昇しだす。それでも景気上昇の勢いは強いから、金利は徐々に上昇ピッチを上げていく。その先、どこかで景気は過熱気味となる。
景気が過熱し、あまりに金利水準が高くなってしまうと、金利コストの上昇が企業の収益を圧迫しだす。また、もろもろのコスト上昇が物価にスライドし、個人消費も鈍化しだす。
そのうち、どこかで突然、景気は失速気味となっていく。企業もそれまでの拡大投資から一転し、生産量を減らしたり設備縮小に走ったりする。つれて、その寸前まで高まり続けていたマネー需要も急激に落ち込み、金利も低下しだす。
すると、それまでの好景気は急減速しはじめ、個人消費も一気に落ち込んでいく。不況への突入だ。
それを見るや、国は景気対策の予算を投下する。減退した需要を喚起しようと、公共事業などを連発することになる。また、中央銀行は低金利政策に打って出る。
株式投資に入るべきタイミングとは?
低金利政策は、いってみれば、家計から法人部門への半強制的な所得移転政策である。個人や家計に、「景気が悪いから、我慢してくれ。預貯金の利子収入は減るが、その分で企業に頑張ってもらおう」ということだ。
この段階でのマネーの流れはというと、個人や家計が本来手にできていたはずの利子所得が、強引に法人部門へ向かわされている。つまり、家計から見ると利子所得を減らして、その分を企業に「しっかり儲けてください」と差し出しているのだ。
別の見方をすると、家計は企業にせっせと大きな資金を貢いでいるわけだ。「ここは我慢するから、うんと儲けて景気を良くしてね」といいながら。
そう、個人や家計は利子収入を減らして、せっせと企業の将来利益に貢献しているのだ。そういうことならば、低金利時にはどんどん株を買っておけば良いはず。それが、経済的にも合理的な行動となる。
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