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東上線10000型「当初の姿」貫く東武車両の基本形 運転士からは「ガチャマン」あだ名の由来は?

東洋経済オンライン / 2024年8月16日 7時30分

一方で、車内設備などに電力を供給する補助電源装置、ブレーキやドア開閉用などの空気をつくる空気圧縮機は実績ある従来型を採用。台車も8000型とほぼ同じだ。泉川さんは、「新しいものを採用しつつ、従来車と同じ部分が残っているのも10000型の大きな特徴」と話す。

10000型は地下鉄に乗り入れない地上線用車両として、まず東上線に8両編成が登場。その後本線系統(伊勢崎線など)にも2両編成と6両編成を投入し、計118両を導入した。東上線に配属された8両編成6本のうち4本は、増え続けていた利用者に対応するため1989年に2両を増結して10両編成化しており、このうち3本が現在も東上線を走り続けている。

1988年以降の増備は、10000型の基本形態を踏襲しつつ車体からコルゲーションを廃し、台車も変更するなどマイナーチェンジした「10030型」や「10050型」に移行。同じデザインで、新型の制御装置を搭載した試作的な車両「10080型」も造られた。

10000型とこれらのマイナーチェンジ車を合わせた「10000系列」の車両は計486両導入され、8000型に続いて東武車両の一大勢力となった。「8000型は712両導入しましたが、それでも足りなくて486両を造った。利用が急増した時代のラッシュ対応車両としてどんどん増備された車両です」と、泉川さんは10000系列の車両が投入された時代背景を語る。

「まるまる型」と「ガチャマン」

10000、10030、10050と複数のタイプがある10000系列の車両。東武の社内ではそれぞれユニークな呼び方がある。末尾2桁の数字から、10000型は「まるまる型」、10030型は「さんまる型」、10050型は「ごーまる型」だ。

10000型にはさらに別の呼び名もある。「ガチャマン」だ。これは運転台のブレーキを操作するときの音から来ているという。

「まるまる型は、さんまる型などと違ってブレーキの接点に刻みがあるので、操作するとガチャガチャと音がするんです」と泉川さん。運転士の間では「ガチャマン」と呼ばれることが多いようだ。

社内で親しみを込めた名で呼ばれる10000型。デビューの約2年後、1985年に東武に入社した泉川さんも愛着は深い。

最初の配属先だった西新井工場(廃止)で、初めての定期入場(検査)のために工場入りした姿を今もよく覚えているという。「本当にピカピカな電車が入ってきたという、ものすごく鮮烈な思い出があります」。10000型の機器なら「今でも分解洗浄して組み立てられる」というほどになじんだ電車だ。近年のリニューアル工事にも携わり、「まるまる型」をはじめとする10000系列の車両とは切っても切れない縁があるという。

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