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東上線10000型「当初の姿」貫く東武車両の基本形 運転士からは「ガチャマン」あだ名の由来は?

東洋経済オンライン / 2024年8月16日 7時30分

「勤続40年になろうとしていますが、一緒に歩んでいるような感じです」と泉川さん。「今も走ってくれているのはうれしい」と、活躍を続ける「同期」の姿を見つめる。

東上線では「ほぼ登場時のまま」

「まるまる型」「ガチャマン」こと10000型は、2024年5月時点で96両が現役。東上線で10両編成3本、本線系統(伊勢崎線など)では2両編成・6両編成・8両編成が活躍している。

本線系統の車両は、内装の刷新や先頭車前面のスカート取り付け、前照灯をLEDに変えるといったリニューアルを施している。一方、東上線を走る10両編成は内外装ともに原型をとどめている。「ATC(自動列車制御装置)の導入で運転台や先頭車両の床下にある機器はだいぶ変わったが、それ以外はほぼ登場時のまま」(泉川さん)だ。

デビュー時とほぼ同じ姿を残す東上線の10000型は、同線の輸送力増強の経過を示す存在でもある。現在見られる10両編成は、当初8両で登場した編成に後から2両を増結したため、この2両は床の色が異なる。外観はほかの中間車両と見分けがつかないが、車内に入れば一目瞭然だ。

今も第一線で活躍を続けるが、登場から約40年が経過していることもあり、すでにメーカーが製造していない部品も多いという。たとえば制御装置内のスイッチや、車内設備に電力を供給するMG(電動発電機)の部品だ。

このため、リニューアル工事で機器を新型に交換した際の発生品を使ったり、廃車になった車両から取り外したりするなど、予備部品の確保には苦労がある。実は車内の荷棚も「金網の網棚はもう作れるところがない」という。

活躍はいつまで続くか

東武は2024年度の設備投資計画で、東上線の地下鉄乗り入れ用車両9000系を新型車両に置き換える方針を発表した。同形式は10000型とほぼ同時期の製造。とくに東上線の10000型はリニューアル工事を実施していないだけに去就が注目されるが、座席シートの張り替えなどは行っており、美しい状態に保たれている。今後もしばらくは活躍が続きそうだ。

泉川さんは10000型を、「右肩上がりの時代、ラッシュ対策が求められる中で増備された通勤に徹した車両」と評する。登場時からほぼ変わらない姿で走り続ける東上線の10000型は、その当時の雰囲気を今に伝えている。

小佐野 景寿:東洋経済 記者

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