東大辞めてミネルバ大に進んだ彼の人生の選び方 日本で多少勉強ができたとしても外に出れば無力
東洋経済オンライン / 2024年8月17日 8時30分
「なんで東大を辞めてよくわからない大学にいくの?」
煙山拓さん(22)は、幾度となくそんな疑問を周囲から投げかけられてきた。そのたびに彼は「もっと面白そうな世界に飛び込みたかったから」と返してきた。「理由はシンプルなんですよ」。
2021年に現役で東京大学文科2類とカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)に合格し、東大への進学を決める。しかし入学後1年少しで東大を辞め、日本での知名度は高くないものの、「世界最先端」ともいわれるミネルバ大学に入学した。
煙山さんは、自分の進む道をどのように決めてきたのか。
「友人からも、なんでお前は不合理な選択ばかりするんだとよく言われます(笑)。でも、私からすると20年先に絶対に後悔しないため、という軸をぶらさず、その時々で選択しているだけなんです。日本で人より多少勉強ができたとしても、いったん外に出ると無力になるという経験をたくさんしてきたので、東大を辞めたことも自分にとっては合理的な選択でした」
サッカーで東京都選抜に選ばれる
3人兄弟の次男だった煙山さんは、父の仕事の都合で小学校4年生まで上海で育った。帰国後は都内の公立小学校に通いながら、サッカーに打ち込んだ。
都選抜に選ばれる実力からもわかるように、多くの時間をサッカーに費やしてきた。中学受験では第1志望の駒場東邦(東京)には失敗し、神奈川県の進学校である聖光学院に進学する。しかし、結果的にはこの選択が後の煙山さんの人生に実りをもたらすことになる。
聖光学院での6年間は、勉強もこなすもののサッカー中心の生活となった。FC東京のジュニアユースと横河武蔵野FCのユースに所属し、プロの予備軍としてしのぎを削った。
学校への通学は往復で2時間強。塾に通う時間もなく、平日の主な勉強はほとんど授業とこの通学時間で行っていた、というから驚きだ。
勉強は学校の授業の復習が中心
「もともと勉強はあまり好きではないんですよ(笑)。サッカーのほうが楽しくて、プロになりたいという思いも強かったので。ただ、校風が自由なところは私に合っていました。
基礎学力を上げるためにしていたことは、とにかく授業の復習。質の高い授業があったので、限られた時間は復習に当てていました。それで基礎学力は培える。だから、予習はほとんどしなかったですね。時間が物理的に足りなかったので。あとは集中力も大切で、授業を最前列で聞くのは当たり前。わからないことは先生に聞くということは常に意識していました」
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