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ファミマ、1万店で光る「デジタル看板」の奮闘劇 昨年度に黒字転換、収益改善の舞台裏とは?

東洋経済オンライン / 2024年8月17日 8時0分

(撮影:梅谷秀司)

店頭でネットフリックスやアマゾンプライムビデオ、第一生命などのCMを流すコンビニチェーンをご存知だろうか。

【写真】レジ上のデジタルサイネージ「ファミリーマートビジョン」は1週間で累計6400万人が目にする

今、ファミリーマートでは、レジ上のデジタルサイネージ「ファミリーマートビジョン」を設置する店舗が増えている。設置店舗数は3月、全国のファミリーマートの約6割にあたる1万店に達した。同社はファミマビジョンを中心とした広告事業を成長戦略の1つとしている。

コンビニはさまざまな商材やサービスを販売するだけでなく、毎日多くの人が立ち寄る場所でもある。リアルな広告媒体として、店舗はどれほどの価値があるのだろうか。

小売り店の広告がテレビを超える?

ファミマの広告事業のスタートは2020年。新たな収益源を模索する中で目をつけたのが、アメリカのウォルマートやアマゾンが先行していたリテールメディア(小売事業者による広告ビジネス)だった。

イギリスの広告代理店、グループエムによると、世界のリテールメディア広告市場は2023年に1257億ドルに達した。2028年にはテレビ広告の市場規模を上回るとみられている。

ファミマは日本でも消費者と多くの接点を持つ小売店がメディアになると考え、2021年にかけて新会社を立ち上げた。デジタルサイネージの設置や映像コンテンツ制作を担う会社、ファミマの決済データや提携先のデータを基にターゲティング広告を行う会社も設立している。

一部地域の実証実験を経て、近年は本格的にサイネージ設置などの投資を進めている。これまでに、広告関連事業に累計450億円以上投じてきた。

当初、競合関係者からは「自社商品やサービスの宣伝ばかり」「本当に儲かっているのか」と冷ややかに見られていた。実際、立ち上げ期は広告の入稿が少なく、広告事業を担う子会社は赤字が続いた。官報の決算公告によると、関係子会社3社の最終損益の合計は2022年2月期で18億円の赤字、2023年2月期も15億円近くの赤字だった。

しかし、足元で状況は変わりつつある。2024年2月期は11億円の黒字化を達成。ファミマは2029年2月期までに事業利益(日本基準の営業利益に相当)で100億円を目指す方針だ。

今年7月、デジタル戦略の発表会で細見研介社長は力を込めて語った。「ようやく日本でもリテールメディアという言葉が当たり前に使われるようになってきた。われわれがリテールメディアの時代を切り開いたという自負を持っている」。

店舗数拡大につれ、広告主が変わってきた

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