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ウクライナ軍がロシア領内反攻に成功した理由 現地キーウから見たウクライナ軍大反攻の真実

東洋経済オンライン / 2024年8月17日 9時0分

2024年8月11日、ウクライナ国家警備隊第13旅団の隊員たちが軍事作戦を続けている(写真・Anadolu/Getty Images)

現在、ウクライナのキーウに滞在している。2024年8月11日にキーウに入った。このタイミングでウクライナを訪れたのは、ウクライナの本格的反攻が今夏8月末までに始まる可能性が高いとみていたからだ。

2024年7月30日付の「クリミア上陸作戦で停戦交渉狙うウクライナ」で、ゼレンスキー氏が2024年8月以降「新たな軍事的勝負に出る構えだ」と書いた。そのため、重要な転換点になるとみて、現地で見守ることにした。

予想外のロシア領進軍

この論考と今回の新たな展開を比べると、開始時期はほぼ当たったが、残念ながら最初の攻撃地はクリミアでなく、多くの専門家も予測できなかったロシア西部クルスク州だった。

ここでは、①ウクライナの侵攻の現状と見通し、②ウクライナ側の狙い、そして③ロシア軍の現状、④今後の見通し――などについて述べていく。

まず①と②については、ウクライナ軍は2024年8月6日、国境線を越えてクルスク州に入った。ロシア領土が外国部隊に武力で侵入されたのは、ナチスドイツに侵略された1941年6月以来のことになる。

越境した兵力規模は不明だが、最大2万人規模と言われている。おまけに侵入から10日近く経ったのに、いまだにロシア軍がそれを撃退する動きすら確認されていない。「強い指導者」として国民から高い支持を集めてきたプーチン氏からすれば、政治的権威は地に落ちたといえる。

ウクライナの軍事筋は、今回の越境攻撃について「一過性のヒットアンドラン作戦ではない。もしそうなら、先週で越境作戦は終わっていた」と指摘する。

これを裏付ける情報として、ゼレンスキー氏は2024年8月13日に開催された「最高軍事関係閣僚会議」でこう強調した。「今われわれは、戦争で主導権をつかんだ侵攻開始直後のように団結し、効率的に行動しなければならない」。

つまり、ゼレンスキー氏としてはアメリカからの武器支援が一時的にストップした2024年当初以来、ロシア軍に奪われていた主導権を取り戻すことを狙っているとみられる。

ウクライナ部隊はすでにクルスク州の経済的要衝スジャを掌握した。スジャはロシア産ガスを一部の欧州諸国へ送るためのパイプライン施設があり、ここをウクライナが掌握すれば、プーチン政権に大きな圧力をかけることになる。

さらに、ウクライナ政府は市民を人道的に扱うと宣言し、クルスクに治安維持にあたる軍司令部を設置する考えも表明した。

2024年11月の平和サミットを前に

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