「交際経験ゼロ」40歳の彼が結婚に辿り着いた軌跡 ただ「スン…と生きていた」人がつかんだ結婚生活
東洋経済オンライン / 2024年8月18日 12時0分
土曜日の朝9時。新宿のオフィス街にあるスターバックスコーヒーで杉本千恵さん(仮名、42歳)と同い年の隆志さんの夫婦と待ち合わせた。
千恵さんは小柄で色白、黒い半袖のワンピースを上手に着こなしている。隆志さんはピンクの長袖シャツ姿。俳優の生瀬勝久を柔らかくしたような風貌だ。都会的な美男美女カップルという印象を受ける。
本連載の出演申し込みフォームから連絡をくれたのは千恵さんだった。
恋愛経験ゼロからのスピード婚
<夫は恋愛経験皆無でアプリでの婚活を3年程度。交際までいく出会いもなく、なかなかうまくいかず。私のほうは恋愛はいろいろしてきましたが結婚には結びつかず。お互い37の歳にアプリで出会って晩婚かつスピード婚ですが楽しくやっています。私たちの経験が同じような境遇の方に何か参考になれば……と思い手を挙げました>
とのこと。マッチングアプリで知り合って2回目のデートで結婚前提の交際を始めたという。
共通のコミュニティもなく紹介者もいない2人がなぜそれほど早い決断ができたのか。まずは千恵さんの話から聞いた。
「東京出身です。高校を出てから不動産管理会社で働き、憧れていたアパレル企業に転職しました。でも、薄給と激務に耐えられず……。それからは保険業界でずっと働いています。年収300万円程度の契約社員です」
千恵さんは中学生のときに仲の良かった両親を病気と事故で相次いで亡くした経験がある。資産があったので何不自由なく成人になったと振り返るが、兄とは気が合わずにお互いに家庭を持った今も交流はない。一人で生きる力が強い女性、と言えそうだ。
「恋愛相手の年齢や性格には一貫性がありません。共通点はすべて友達になってから自然と恋愛関係になることです」
居酒屋などで一緒に飲んでいて仲良くなることもあったという千恵さん。誰かから恋人候補を紹介されることは好まなかった。紹介者に気を遣うと自分の思い通りにできなくなってしまうからだ。
「誰とも結婚に至らなかったのは私の性格に難があったからだと思います。感情の起伏が激しくて、相手を振り回してしまっていました」
相手に求めた2つの条件
高校生時代からほぼ一人で生きてきた千恵さん。一人でやれることはやり尽くしたという思いに至ったのは30代半ばを過ぎてからだった。
「自分だけのために生きるのは空しいと思ったんです。でも、友達から恋人になるという今までのパターンだと(わがままになりすぎて)うまくいかないこともわかっていました」
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