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留学先で「パンに生えたきのこ」食べた彼女の結末 「薄暗い場所でものを食べてはいけない」と実感

東洋経済オンライン / 2024年8月18日 10時0分

さて、半年ほど経ち、生活にも慣れてきたある日、その出来事は起こった。

1限目の授業が始まってすぐ、「キューッ」っとしぼられるような腹痛に襲われたのだ。教室を出て、トイレに駆け込んだ。便座に座ったときには症状は限界MAXで、激しい下痢に襲われたという。

「同時に吐き気も襲ってきて、すぐに吐きました。その後は上からは嘔吐、下からは下痢。もう地獄です。でも、一向によくならない。腹痛もつらく、意識を失いかけました」(横山さん)

吐くものや出すものもなくなっても、症状は続く。それを耐え続け、粘液のようなものも出なくなった頃、症状は落ち着いた。授業はすでに終わっていたから、1時間くらいはトイレにこもっていたことになる。

症状から「食べ物が原因」というのはわかった。しかし、原因がわからない。なぜなら、「その日の朝も、いつもと同じパンを食べただけだったからです」(横山さん)。

ところが、寮に戻ってみると、テーブルの上にあるのは、“横山さんがこれまで見たこともないパンの姿”だった。

パンの表面には、うっすらと白くて雲のようなものが生えていた。近づいてよく見ると、1本1本が糸状になっている。そして、その先が丸く、まるでえのきのよう。――正体はパンに生えたカビだった。

「『原因はこれだ!』と確信し、残りのパンをすぐに捨てました」(横山さん)

季節は12月。ノルウェーのこの時期は1日中ほとんど陽が差さない。暗い部屋で食事をとっていたため、カビに気づかなかった可能性が高いと横山さんは考えた。

パンはプラスチックのパンケースに入れた状態で、部屋に置かれていた。ノルウェーの冬は平均気温がマイナス5℃程度と寒いが、屋内は暑いくらいに暖房が効いているうえ、湿度が高い。これがカビ増殖の温床になっていたのではないかという。

横山さんの体調は幸い、2~3日で軽快した。食中毒の直後は、パンを見るのも嫌だったが、ほかに安い食材がないため、あきらめて数日後には食べ始めたという。

「ただし、それ以後、パンは冷蔵庫で保管するようになりました」(横山さん)

医師に診てもらおうとは思わなかったのか。ノルウェーは家庭医制度といって、病気やけがなどで診療が必要な場合、原則として指定されている「かかりつけ医」を受診する。専門的な治療が必要な場合は、かかりつけ医から専門病院を紹介してもらうシステムだ。

横山さんにも指定されていた家庭医がいたが、行かなかった。

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