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留学先で「パンに生えたきのこ」食べた彼女の結末 「薄暗い場所でものを食べてはいけない」と実感

東洋経済オンライン / 2024年8月18日 10時0分

「ノルウェーは医療機関が少なく、家庭医が近くにいるわけではないのです。現地の友人たちも、『よほどのことがない限り病院にはいかない』と言っていたので……」

医療機関に気軽にかかることのできる日本が、いかに恵まれているかを強く実感したという。

総合診療かかりつけ医・菊池医師の見解

総合診療かかりつけ医できくち総合診療クリニック院長の菊池大和医師に、横山さんの症状について聞いたところ、「食中毒であることは、ほぼ確定ですね。ただ、原因はカビではなく、“黄色ブドウ球菌”だと思われます」と言う。

黄色ブドウ球菌というと、先日も、うなぎ弁当を食べた160人あまりが体調不良を訴えた集団食中毒事件が記憶に新しい。

カビも食中毒の原因になることはあるが、パンに付いたものを1回食べたくらいで発症することは極めて少ないそうだ。

かたや黄色ブドウ球菌による食中毒は日常的に起こりやすい。

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や、鼻や口の中や髪の毛などにいる常在菌だ。通常は悪さをしないが、何らかのきっかけで増殖すると、その過程でエンテロトキシンという毒素を発生し、それが食べ物を介して体の中に入ることで、食中毒を引き起こす。

典型的なルートとして、調理者の手に付着していた黄色ブドウ球菌が食材に付き、時間の経過とともに菌が繁殖。食材を食べた人に下痢や嘔吐が起こるというものがある。

「黄色ブドウ球菌による食中毒では、原因となる食べ物をとった後、早ければ30分、平均的には2~3時間で症状が出ます。横山さんの場合、購入したパンに黄色ブドウ球菌がついていた可能性が高いです。その菌が湿度の高い部屋の環境により、増えたのでしょう」

と菊池医師。湿度が65%以上の場所では、細菌が増殖しやすいことがわかっているそうだ。

なお、食中毒と思われる症状があった場合、原因となる食材を体の外に出すことが何よりの対処法。このため、下痢止めは服用しないほうがよく、横山さんの対応は結果的に最良だった。

また、横山さんは結果的に行かなかったが、医療機関を受診したほうがいいこともある。「1日10回以上の下痢」「吐き気がひどく水分が取れない」などの場合だ。

「食中毒で一番怖いのは脱水です。とくに高齢者は脱水により命に危険が及ぶことがありますので、受診をおすすめします」(菊池医師)

黄色ブドウ球菌による食中毒対策

湿度の高い夏は食中毒が起こりやすい。家庭内でも発生しやすいという。菊池医師の話をもとに、食中毒の予防策をまとめた。

夏はバーベキューなど、人が集まって食事をする機会も多い。上記に気をつけながら、イベントを楽しんでほしい。

菊池 大和:きくち総合診療クリニック

狩生 聖子:医療ライター

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