大波乱後の日経平均は9月以降最高値をとれるか 外国人投資家は割安な日本株をスルーできない
東洋経済オンライン / 2024年8月19日 10時30分
ここで問題になるのが、いわゆる円キャリートレードの存在だ。昨年10月からの日経平均1万円高と、その後の1万円安に大きな役割を果たしたのが、円キャリートレードの積み上がりとその巻き戻しであることは周知の事実になっているが、いまだに悩ましい状態は変わっていない。
8月16日現在、日本の10年債利回り0.87%、アメリカの10年債利回り3.9%、さらに東証プライム市場の平均配当利回りは2.38%だ。これらを考えると、日本株に先高観が見えると再び円キャリートレードが積み上がることになりそうだ。
折しも、8月15日に発表された日本の4~6月期GDP速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値が前期比+0.8%、年率換算で+3.1%と、エコノミスト予想の年率+2.3%を大きく上回り2四半期ぶりのプラス成長となった。
名目GDPも前期比+1.8%、年率換算で+7.4%と2四半期ぶりのプラスで、年換算では607兆円と、初めて600兆円に乗せた。また、GDPの半分以上を占める個人消費も実質で前期比+1.0%、名目で+1.5%と5四半期ぶりのプラス。消費に次ぐ民需の柱である設備投資も実質で前期比+0.9%、名目で+1.9%と2四半期ぶりにプラスだった。
さらに7~9月期も、賃上げの広がりや6月に開始された定額減税による効果で消費の拡大が見込まれ、エコノミスト予想ではプラス成長が続くとの見方が多くなっている。
もちろん、こうした直近の統計は、目先で大きく落ち込んでいた反動にすぎないと見ることもできる。だが、外国人投資家は意外に単純に評価するため、日本株に先高観が復活する可能性もある。
前回の記事「日本株の『長期上昇インフレ相場』は終わらない」(8月5日配信)では、大波乱の中、「2023年大発会から始まったデフレ脱却相場は、少なくとも2024年と2025年の3年間にわたる上昇相場という私の基本観はまったく変わっていない」とした。しかもそれは2025年までの3年で終わるという意味ではなく、「インフレ相場が始まれば2026年も、場合によっては2027年も続くと考えている」と言明したが、この考えは微動だにしない。
日銀は「連続利上げ」はできない
8月14日に岸田文雄首相が退陣表明をしてから混沌としている自民党総裁選挙は、いよいよ今週から本格化する。早ければ19日にも先頭を切って、20人の支援者を集めたという小林鷹之氏(前経済安全保障担当大臣)の出馬宣言があるようだ。
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