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喫煙で辞退「宮田笙子」なぜあれほど批判されたか 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【前編】

東洋経済オンライン / 2024年8月20日 14時0分

とはいえ、今やタバコ1箱600円くらいする時代だ。当時もタバコは駄菓子感覚で購入できるようなものではなかったため、子どもたちもそんなに頻繁には吸えなかっただろう。

しかし、明治時代に入ると子どもたちは本当に「駄菓子感覚」でタバコを購入するようになった。というのも、京都のタバコ商「村井兄弟商会」が外国から輸入した紙巻きタバコのPRのために、トランプ花札、軍人の写真、西洋の女性画など、当時の子どもたちが喜ぶ絵が描かれた「タバコカード」を「おまけ」に付けたのだ。実際にJT(日本たばこ産業)の企業博物館「たばこと塩の博物館」に展示されているタバコカードを見るとわかるが、これらはカラフルでオシャレである。確かに欲しい。

このおまけに子どもたちは夢中になり、ほかの資料によると小学校でも子どもたちがタバコを吸う光景が当たり前になったという。筆者も喫煙者だが、さすがに小学生のときはタバコを吸いたいと思ったことがない。明治時代にNintendo Switchとドッジボールはなかったとはいえ、昔もたくさん楽しいことはあったはずだが……。

さすがに「世も末」と大人たちは思ったのか、1900(明治33)年に20歳未満の喫煙を禁じる「未成年者喫煙禁止法」が施行される。

今回は深掘りしないが、1922(大正11)年には「未成年者飲酒禁止法」も作られた。そして、1930(昭和5)年には「麻薬取締規則」というアヘン、大麻、コカインの流通をコントロールする規則が制定されている。

あくまでも、使用者個人を罰するものではなく、未許可での売買を禁じるというものだが、今の感覚からすると麻薬よりも先に、酒とタバコが規制されたのは興味深い(アヘンも江戸時代にはすでに輸入されていた)。

また、未成年の喫煙禁止のきっかけが、おまけに付いてきた「カード」というのは、いかにも日本っぽい。今は喫煙者の数自体が減っているが、仮にトレーディングカードなど「おまけ」を付ければ、きっと若者の喫煙者の数は増えるだろう。もちろん、そういうことは法律で禁じられているが……。

喫煙騒動の主題は日本体操協会にある

かくして、この国の未成年喫煙の法律は制定された。そして、「20歳未満の者の喫煙の禁止に関する法律」と名前を変え、今も生きている。

また、これは今も昔も同じことだが、未成年がタバコを吸ったところで、本人が罰せられるわけではなく、販売者と親権者が罰せられるのだ。このことが宮田選手の問題をややこしくさせている一因でもある。

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