喫煙で辞退「宮田笙子」なぜあれほど批判されたか 意外と関係深い、アスリートと喫煙の歴史【前編】
東洋経済オンライン / 2024年8月20日 14時0分
「タバコを吸う未成年が一番悪いだろ」と思うかもしれないが、この法律はあくまでも「未成年を保護」するために制定されたものなのである。つまり、未成年者に対する罰則はない。
むしろ、大人(販売者)がタバコを売らなければ、大人(親権者)が吸わせなければ、未成年が吸うことはなかったという理論である。そのため、法律上は今回の喫煙騒動の主題は宮田選手ではなく、彼女の喫煙を見抜けなかった日本体操協会にあるともいえよう。この法律が未成年本人を罰するものであれば、宮田選手は法律違反ということで、簡単にクビを切ることができただろう。しかし、実際は注意喚起くらいで済むのだ。
とはいえ、それで親や販売者が罰せられるのだから、堪ったものではない。実際、1959年10月25日号の『週刊サンケイ』(産業経済新聞社)にある『“一箱のピースもし売らずば”「未成年者喫煙禁止法」違反に問われた主婦』という記事では、タバコ店で働く主婦が少年2人にタバコを売ってしまったことで、少年2人は「補導」で済んだが、主婦は「五千円以下【編注:当時の価格】の罰金」を言い渡されたという。怒りが収まらないこの主婦は「警察のデッチ上げ」と言い放つ始末だ。
ちなみに、今でもコンビニなどで未成年者にタバコを売ってしまった場合は、50万円以下の罰金を払わなければならない。
また、未成年が吸っていることをわかっていながら、黙認していても罪に問われる。1984年5月31日号の『週刊新潮』(新潮社)の「新聞閲覧室」という地方紙のニュースを集めたページを見ると、長崎県で「わが子を含む未成年の不良グループに自宅を喫煙場所として提供していた佐世保市内の主婦を県少年保護育成条例違反(喫煙場所提供)と未成年喫煙法違反(親権者静止義務)の疑いで検挙」されている。
その一方で、1994年11月14日号の『週刊大衆』(双葉社)の『ルポ 都立高校に「生徒用喫煙室」がある!?』という記事では、タバコをやめられない生徒たちのために、教室のひとつが喫煙室として利用されていることが報告されている。しかも、同記事によれば長野県でも同じ取り組みが行われていたらしい。これは監督責任には当たらないのだろうか……?
「嫌煙権活動」の大きな影響
ただ、喫煙者への世間からの風当たりが強くなったのは、この法律ではなく70年代後半から始まった「嫌煙権活動」の影響が大きいだろう。
今では考えられないが、昭和は列車、会社、飛行機でもタバコが吸えた時代。タバコの煙が嫌いな人間にとっては生きづらくて、しょうがなかったという。
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