トランプ・バンス体制を作った「極右思想」IT富豪 「トランプ後継」バンス副大統領候補の素顔(下)
東洋経済オンライン / 2024年8月20日 8時0分
バンスの「政府論」もティールと同じである。彼らは、アメリカ政府はエリートの寡占集団に支配されていると考えている。「ディープステート(影の国家)論」である。
バンスは『Vanity Fair』のインタビューで「トランプは2024年の大統領選挙に出馬するだろう。トランプがすべきことは、行政機関の中堅官僚とすべての公務員を解雇し、私たちを支持する人々(注:極右の人々)に置き換えることだ」と語っている(2022年4月20日、「Inside the New Right, Where Peter Thiel Is Placing His Biggest Bets」)。
バンスは現在の政府組織に懐疑を抱いている。さらに現在アメリカで展開されている中絶やLGBTQの権利などを巡る社会的価値観を巡る「文化戦争」に関して、バンスは「文化戦争は階級戦争である」と発言している。
家庭観も家父長制を支持し、女性は妻として、母としての役割を果たすべきだと主張する。アメリカの白人の出生率の低下は、女性が子供を産まなくなったからだとして、リベラル派の女性を「子供がいない、猫と暮らす女性(childless cat ladies)」と語っている。副大統領候補になってから、この発言が取り上げられ、バンスはリベラル派から批判を浴びている。
『Vanity Fair』の記事の筆者は、バンスの考えを次のように表現している。「アメリカのシステムは自然に分裂するか、偉大な指導者が半独裁的な権力(semi-dictatorial power)を掌握する2つの可能性を示している」と書いている。「偉大な指導者が権力を掌握する」という言葉は、トランプをイメージしたのかもしれない。
バンスの“変節”を『ニューヨーク・タイムズ』は「バンスの過激化」と呼んでいる(2022年1月4日、Simon van Zuylen-Wood、「The Radicalization of J.D. Vance」)。
同記事の筆者は共和党の予備選挙でのバンスの様子を「バンスは予備選挙運動で数十人の有権者を前に、国を誤らせた企業と政府のエリートを15分にわたって攻撃した」と書いている。そして、「イェール大学のカルチャーショックがバンスの政治に対する考え方を変えた」と指摘する。
別の政治集会でバンスは「鉄鋼会社の仕事が海外に移転されただけではない。ワシントンの“愚か者”によってわれわれを嫌う国へ売り渡した」と怒りを込めて語っている。
文化問題は右寄り、経済問題は左寄り
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